オーストラリアで仕事をゲットすることに関してJ-23の投稿からこれまで3回に渡って述べてきました。
まずJ-23で仕事をゲットするために必要なものとして、ビザ、職歴・就業経験、英語力、J-24でオーストラリアに住んでいる日本人がゲットしてる代表的な仕事、職業、そして前回のJ-25で今年から始まったTSSと呼ばれる就労ビザでオフィスワーク系など多くの人が就くような一般的な職業では永住権につながらず長期的な移住、永住には使えない、TSSより条件が緩いRSMSビザと呼ばれる地方版就労ビザを狙っていくことを述べました。
オーストラリアに限らず、外国に住むにはビザなしには不可能です。何はなくともまずはビザ。それくらい重要です。しかし現状は就労ビザの取得やそこから永住権につなげるのが非常に厳しいです。それでも上述の通り、RSMSビザなどまだ道は若干ですが残されていると思います。
(注:このブログを執筆するにあたってRSMSビザの近況を下記のサイトで確認しましたが、2018年6月19日現在、Direct Entry で申請する場合は結果が出るのに24か月ほどかかることが見込まれます。昨年の今頃で1年前後の見込みでしたので(これでも相当長いです)、今年から始まったTSSビザの導入により、恐らく多くの人がRSMSビザしか方法がないと考えて、このビザを取る方向に向かっていってるのだと推察されます。尚、私はビザの専門家ではないのでビザに関しての詳細な説明やアドバイスを提供することはできませんし、私がこのブログで述べるビザに関する情報の正確性については保証できません。詳細はビザの専門家にお尋ねください。また、RSMSビザや他のビザの概要だけならネットでいくらでも検索することができます)
https://www.homeaffairs.gov.au/trav/visa-1/187-
さて、ここではこれまで同様、私の経験で述べられることについて述べていきたいと思います。今回はオーストラリアの企業ではどういう人材が求められているか、重宝されるかについて述べていきたいと思います。
現在オーストラリアのローカル企業ではオージーだけでなく多くの移民の人たちが働いています。もちろん職種にもよりますが、例えば営業系ならやはりオージーが多いと思います。取引先の相手もオージーであることが多く、仕事柄どうしてもオージーの常識(一般的な事からビジネスまで)、嗜好、流行などが理解できないとだめですし、言葉もネイティブレベルでないと厳しいと思います。
また、オージーは裏方でコツコツやる事務的な仕事より、人前でプレゼンしたり自社で販売する商品・製品など雄弁に語る仕事の方を好む、得意とする人が多いような気がします。これはオーストラリアの教育が長所を伸ばして短所には目をつぶるという方針が大きく影響しているように思えます。オーストラリアでは「コンフィデンス」=自信を持つことを小さいころから親、先生、友達などから言われて育ってきています。ですので、良い点はたくさん挙げてほめて伸ばし、うまくできなかった点を指摘したりネガティブな事を面と向かって言わない、というかそれはこの国ではすごく失礼で、したら「あいつ最低な奴」と嫌われます。オーストラリアはメンツをすごく大切にする社会だと思います。
日本は短所をいかに少なくするか、小さいころからスポーツ、部活、受験勉強などで何度も何度も徹底的に反復練習をしてミスを減らすか、ミスしたら「やる気あるのか」など発破をかけられて、精神的に追い込んで火事場のクソ力を出させるような、根性論的な考えが根強いと思います、モノづくりや料理人の仕事などでも当然のごとく「修行」という形でまずは雑用からやらされて、半年、1年後などにようやく一番下っ端の仕事が与えられて、それからその仕事の中心的な部分に徐々に携わらせてもらえて一人前になるまでに最低十年は当たり前。ですから、決められたとおりに反復的にコツコツ処理するような事務的な処理は最初はできなくても辛抱強く練習してそのうちできるようになって、上司から高い評価を受けることができると思います。
オージーは我慢ができません。すぐ「アァッ、こんなのやってられるか~」とすぐ投げ出してしまい、ストレスになることはそれ以上しようとしません。逆に人の良い点を挙げたり、ポジティブな事を列挙するのは日本人と比べたらすごく上手です。オージーは陽気でフレンドリーと言われますが、こういう背景の違いがあるからだと思います。
一方でこちらでのアジア系の人の一般的な印象はハードワークで残業などにも文句を言わずこつこつやる。これはビザが欲しいというのがあるからですが、辛抱強くオージーがやらないことでも率先してやったりするためで、経理部門にはアジア系の移民の方が圧倒的に多いですし、ITもインド、スリランカあたりの人が強い感じで、人事もオージーと移民が半々くらいな感じでしょうか?これらの部門では実際に多くのアジア系の人がローカル企業でスーパーバイザー、マネージャー職に就いています。
そのような状況ですので、やはりオージーのマネージャーやシニア職のお偉いさんはアジア系の人たちを重宝する人も少なくないです。シドニーにいる私の知り合いのオージーでも「オージーはあてにならないから、アジア系しかとらない」とまで断言している人もいます。昨年ビザの改訂が発表された時もオージーの間では移民が仕事を奪っているという反発の声が大きい一方、そんなことされたら仕事がちゃんと回らなくなると非常に困った様子の人も多く、テレビやラジオなどでも大きく意見が分かれていました。
上記を読んで「残業やハードワークなら俺だってできるよ」と思われた方。はい、本当にできると思います。これまでも述べてきてますが、オーストラリアで5年働いてきてましたが、オージーにしろ他のアジア系の人たちにしろ日本人のように遅刻しない、提出期限を守る、チームプレイを尊重するといったことをちゃんとできる人がこの国には非常に少ないです。何故なら大抵のことが「no worries」で済まされてしまうからです。とにかく気にしない。プライベートでは非常に良いことだと私も思いますが、仕事では特に上の人たちからすると本当に困るわけです。日本ではもちろんそんなわけにいかず、こんなことができなければ最悪クビになりかねませんよね?なので、根本がそもそも違うのです。
前回、前々回で日本人がなかなか就けないローカル企業であるという現実がある一方、多くのアジア系移民がローカル企業で働いていることを述べましたし、もし日本人が就いていたらオージーの上司は非常に高く評価して頼りにすると思います。日本でサラリーマンを20年近くやってきた私が見る限りアジア系の人たちもかなり雑でいい加減に見えます。ただ、これまでは働くという観点でオージーと日本人との接点がない。それだけです。
ですので、やはり前回述べた通り、私はRSMSビザを狙うなり日本人がもっと積極的にビザを取りに行くことが必要だと思います。シドニーやメルボルン、ブリズベンなどの都会やゴールドコーストといった観光地に住むのは魅力的ですが、オージーしかいないような辺境の地に行くこともビザを取るために必要なら動くべきではないかと思います。上述の通りRSMSビザの近況を見ても既に多くの人がこのビザの取得に動いているのは顕著ですし、申請してから結果が出るのに24ヶ月かかるというのは異常です。アメリカの永住権が申請してから取れるまでに3年とか5年かかると聞いたことがありますが、既にそれに近い状況になっています。とにかくコンタクトを取って、100枚、200枚レジュメを配る。実際にアジア系の人たちはビザが取れるとなれば積極的に行動してます。もちろん田舎はつまらない、差別もあるかもしれないという不安は誰にでもあります。でも、もし長期で移住や永住をしたいなら、行動しないわけにはいかない。
私は今まさに人口が3,000人ほどの地方で仕事をして生活していますが(ビザのためではなく単に仕事で上司からの要請です。永住権はすでに取得しています)、幸い職場も良い人が多いですし、街中で物を投げつけられたりとか差別を受けたことはないです(都会で見かけないようなちょっと知能の低いクレイジーな人は時々見かけますが)。
それでも、上述の通りなかなか仕事が思った通り進まなかったりと苦労は多いですが、それだけよりオーストラリアの事が深く理解できますし、こちらで長く生活していく上では良い経験だと思っています。
Comment
No trackbacks yet.
No comments yet.