オーストラリアで働いてみたい!近年、海外就職といった言葉が普通にネットなどで見られるようになった中で、そのように考えている人は少なくないと思います。
私はオーストラリア(西オーストラリア州)のローカル企業で2013年から働き始めて、もうすぐ満5年になります。これからオーストラリアで働きたいと考えている方に、私のこれまでの経験から語れる範囲で情報を提供できればと思います。
私のオーストラリアでの略歴ですが、
1)これまでの職場は全く日本人のいない環境
2)いわゆるマネージャー職のポジションに渡豪以来就いて、現地スタッフを従えて、オージーの上司に報告や改善を提案するなどしてきてます。
3)現在は西オーストラリア州の州都であるパースから離れ、西オーストラリア州のいわゆるリージョナルエリア(地方、田舎)でオフィスにはほぼ白人のみという職場環境です(私がスタッフとしてアジア系を採用した以外は全員白人です)。オーストラリアではパースも含めて通常都市部ではローカル企業でも人種は様々(職種にもよりますが)ですが、やはり地方にいくと街中ですら白人しか見かけないところもあります。
ですので、留学エージェントや他のオーストラリア在住の方とはまた少し違った目線でお話しできる部分もあるかと思います。逆に他のサイトでも述べられているような内容や詳細については割愛させていただく部分もありますが、ご了承ください。
まず最初にオーストラリアで働くには、次の3つが必要になります。
①就業可能なビザ
②その仕事に関する職歴、就業経験
③英語
ビザに関してですが、オーストラリアで働いている日本人の方で多いのはワーキングホリデイビザや配偶者ビザ、学生ビザ(週20時間まで就労可)を取得されている方だと思います。本来であれば就労ビザ(ビジネスビザなどとも呼ばれている)を取得するのが望ましいのですが、現状は非常に取得が難しいです。理由としては景気が良くない上に移民が急速に増え続けていて、移民がオーストラリア国民から仕事を奪っているという国民の反発の声が大きいというのが大きな理由です。2013年にビザの大きな改正があり、その時も非常に厳しくなったと言われましたが、今年から始まった新しいビザ(TSS)では、多くの人が就くような一般的な職種に関しては2年(最長4年)しか働けなくなりました。昨年までの就労ビザでは2年同一の雇用主の下で働いた後に永住権を申請できたのですが、オーストラリア政府がこれを廃止してしまったため、オーストラリアで永住や長期的なキャリア形成をするのが、一部の職種を除いては極めて難しくなったような状況です。
続いて、職歴、就業経験ですが、オーストラリアは即戦力重視。これが何を意味するか?日本との違いを明らかにしながら述べたいと思います。
まず第一に、オーストラリアでは日本のような新卒一括採用はありません。企業で退職や異動などで欠員が出た時に募集を出すのが一般的です。このため、日本のように新卒を一括採用して様々な部署に配置しながらOJTで育てていくという発想がないので、会社が採用を募集する際はその穴の開いたポジションを埋めて適正に処理してくれるような即戦力を求めます。
しかし、新卒の人は当然職歴がないので、ローカルの人といえど即戦力が求められるポジションには就くのは難しいですし、学生時代にバイトやインターンなどで少なからぬ経験値を稼いで一生懸命アピールしてようやくまずはジュニアスタッフ的なポジションの募集が出た時にゲットをするのが一般的です。そのようなポジションはフルタイムでなかったり、時給制であったりということが少なくなく、日本のような正社員的なポジション(フルタイムで月給の仕事)にいきなり就けることは稀です。日本では新卒の就職率が毎年公表されますが、こちらでは全く意味のない、というかある意味贅沢な話です。こちらでは転職を重ねていくなかで数年後にそのようなポジションをつかみ取っていきます(収入も転職を重ねていく中で上げていくのが一般的です)。
ちなみに日本での就業経験ですが、ないよりはあったほうが良いと思います。オーストラリアでの就業経験があれば、格段に信用度が上がりますが、業界によっては使用されているシステムやソフト、ルール、基準、分析手法などがグローバル規模でほぼスタンダード化されている場合もあるので、そのような場合でしたら、日本での同業種での経験もプラスになると思います(現にIT関係の仕事はプログラミングの仕事などはコードが世界共通なので外国での経験を買われて採用されるなんて話もあるくらいです)。
私の個人的な視点ですが、今後は留学経験よりもむしろその方が有利になると思ってます。何故なら、オーストラリアだけを見ても、これまではオーストラリアの大学、大学院に留学して卒業後に就労ビザを取得してその後永住権というのがスタンダードでしたが、世界中からオーストラリアにやってきてその道を辿る人が増えすぎてしまい、現在ではただ卒業しただけではほぼ仕事をゲットできない状況になってきています。私の経験でも、ちょっと辛口な事を言わせていただくと、日本と同じでただ大学を卒業しただけで何の考えを持っていない!という外国人留学生経験者も見かけますし、「あなた本当にマスター取ったの?」と学校で学んできたことを仕事に全く結び付けられないという人もいなくないです。。。現在はそれでも留学のほうが卒業生ビザを取得しやすいなどメリットがあるかもしれませんが、グローバル化が一層進んで国内企業と外国企業に差がなくなってきて、外国で確かな職歴、実務経験を持った人を取りたいとなれば、わざわざ留学という道を選ばずに、日本で数年経験を積んでからこちらのローカル企業に直接応募するということも出来るようになるのではないかと思います
最後に英語ですが、当然仕事を適正にこなしていくだけの英語力が必要です。IELTSで何点くらいあれば良いかというのは、職種やポジションによって全然違うので一概には言えません。
例えば、カフェやレストランなどの接客仕事でも、お客さんとコミュニケーションを間違えることなく取れるだけの英語力が必要ですが、オーストラリアの移民の人たちはみな訛っています。中国訛り、シンガポール訛り、マレーシア訛り、インド訛り、フランス訛り、スペイン訛り、イタリア訛り、アフリカ訛り、南米訛りなどなど。オーダーを間違って聞き取ってしまってはお客さんにもチームにも迷惑をかけますし、クレーム対応など接客に必要なノウハウやそれに伴う英語などはIELTSでは測れません。
また、オフィスワーク系ならビジネス英語(メールや電話、得意先、上下関係をわきまえた場合の英語とフランクな英語の違い)は必須ですし、契約書や会社の規則、法律関連の用語なども日本語と同じような感覚で辞書なしで読めないようでは話になりません。
長くなりましたが、オーストラリアで働きたいと思った場合、まずはこれらのことが必須になってきます。ハードルが非常に高いように思えるかもしれませんが、それは他の国から来た移民の人にとっても同じで皆様々な苦労をしています。
私のこれまでの経験でも同じ職場で日本人に出会ったことはない一方、パースにいた時は非常に多くのアジア系の人が働いていました。ネットなどでは日本人にとってローカルの仕事をゲットするのは非常に難しいと多くのサイトでも書かれていると思いますが、一方で他のアジア圏の人たちは多くの人がゲットしています。私が自分の目や経験で見る限り、能力的には英語力以外は日本人の方が何倍も優れているといつも思います(J-21 「日本人は英語が話せない」?を参照)。 お世辞ではなく本当です。彼らがゲットできていて、日本人が苦戦しているのは、能力の差ではなく、ポジティブ思考で積極的な性格やアピールのうまさといった部分が大きいように思えます。彼らは躊躇しないので難しいと言われてもどんどん応募して面接などでも自分を実際の能力以上に大きく見せようとしますし(受かればラッキーぐらいの気持ちで)、日本人は難しいと言われると自分には無理かもと思って、応募を諦めたり、躊躇してしまう人も多いのかもしれません。
次回はオーストラリアで日本人の方が手にする仕事について述べていきたいと思います。
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