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仕事、就職という視点で海外に出ることの意味。

海外就職、世界就職という言葉がネットにたくさん出回っています。5年前とかでも今ほどではなかったと思います。時代は確実にこれまでの常識が通用しない新たな局面に入っています。まずはここ30年ほどの日本と世界の状況、変遷を見ていき、その上で今後どういうことが就職という観点で想像されるか述べていきたいと思います。

1980年代。私は小学生から中学生にかけての時代でしたが、この頃は外国と言えばアメリカ。そのアメリカでさえ遠い国、おとぎ話に出てくる場所、自分の頭の中だけでイメージする世界でした。もちろん、その頃はネットも Facebook も YouTube もなく本や雑誌からも異国の情報などほとんど手に入らなかった時代。帰国子女すら珍しい時代で小学生の時に一度学校に転入してくるなんてことがありましたが、学校中の大ニュース、クラスのみんなはまだ見ぬ帰国子女の転入生についてあーだのこーだの、容姿もきっとアメリカ人っぽいじゃないかとか想像する時代でした(もちろん容姿は普通の日本人でしたが)。日本国内の街中で外国人を見かけるというのはまずなく、当時は大使館関係の職員とか、米軍関係のアメリカ人くらいだったのではないかと思います。

1990年代。私は高校生から大学生、そして90年代後半に社会人へ駆けあがった時代でしたが、前半は日本はバブル経済に沸き多くの大人にとって、海外旅行が容易になり始めた時代だと思います。とはいえこの頃はまだ日米欧のみが先進国で、アジア圏はインフラすら全く整っていないような感じで旅行先として訪れる人は非常に少なかったと思います。海外の情報もまだなかなか入ってこない時代。当時の物価は今のシンガポールなどのように、世界でトップレベルの高さで外国に行けば大抵の国が安く感じられ、アメリカですら日本の半額くらいの物価でした。海外に出れば今の中国人のように日本人はどこにでもいて、観光バスでガイドさんが旗を振りながら団体の日本人御一行様と街中を通る姿を現地の人が異様に感じながらジーっと見るなんてことが代名詞のような時代だったと思います。そして日本人と言えば高級ブランドや海外の不動産を買い漁る。外国人から見る日本人はそんなイメージだったと思います(実際に今もまだそのイメージを持っている人が多いです)。これも今は中国人が銀座などでそうやってるのと同じです。

1990年代後半はバブルがはじけ、就職も氷河期、超氷河期と言われる時代になりました。多くの日本企業が人件費削減に必死で、大企業を中心に海外(中国や東南アジア)に工場を移し始めた初期の頃だと思います。そして、この頃から香港、シンガポールがアジア経済のハブとなるべく、規制緩和、減税などで外国からの投資を積極的に誘致して現在の土台を作ったと思います。韓国もサムソン、現代などの財閥を中心にパワーを一極集中させて世界の大企業と競争できるような土台を作っていった時代だと思います。サムソンはこの頃にソニーやNECといった大企業で働いている技術者を高い給与で引き抜いていって、日本から技術を手に入れています。当時の日本人技術者はコストカットで自分たちが作りたいものを作れなくなったことに嫌気がさして、高い給与条件で好きなようにやらせてもらえるサムソンに感謝してついていった人が多いと言われています。世間にはウィンドウズ95が登場し多くの家庭でパソコンを導入し始めてインターネットなるものに挑戦し始める人たちが増え始めたのがこの頃です(それでもパソコンが家にないという人もこの頃はまだまだいました)。ただし、この頃はまだインターネットはダイアルアップ接続でパソコンのスペックも貧弱だったため、自分でウェブサイトをもつという企業、お店、著名人はまだまだ少なく、満足できるような情報量はなかったと思います。それでも少しずつ海外の情報がネットで手に入るようになり、時代が大きく変わる感じがしたのは間違いありません。

2000年代は中国、東南アジア諸国が世界から膨大な投資を受けて著しい経済発展をし始める時代だと思います。中国はこの頃から世界の工場と言われるようになったと思います。それらの国では多くの雇用が創設され、LCCの発達に伴って多くの人にとって海外旅行が容易になり、オーストラリアや北米、ヨーロッパ諸国に留学、移住し始める人も増えた時代だと思います。日本は大企業は海外重視の経営戦略、中小企業も外国に工場を移したり、国内では派遣や日雇いに人材をシフトするなど、「失われた十年」と呼ばれる時代の真っただ中を走っていました。日本では政府がインターネット先進国を打ち出し、ADSLそして光ファイバーへとインフラが発展していき、文字だけでなく音や映像などもウェブ上で再現できるようになり、より海外の情報を取り込みやすい環境が整い、ウェブサイトを気軽に見るのが当たり前になったのはこの時代だったと思います。スマートフォンが普及し始めたのが2000年代後半からだったと思います。また、この頃には日本の外資系企業に勤める外国人も増え始めてきたように思います。町中で外国人をみかけることもしばしば。

2010年代は東南アジアでも世界に出て戦う大企業が育ち始めている時代だと思います。シャープが台湾企業に買収されたり、日本の大企業が外資に買収されるニュースを見るのが珍しくなくなりました。東芝が経営危機に陥るなど以前は考えられなかったことだと思います。また、東南アジアの多くの都市部も近代的なビルが立ち並び、日本の都市と遜色ないような感じです。更に多くの人たちが海外に移住し、イギリスやアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドでは物価が高騰。政治の世界では自国主義が叫ばれる時代になり、各国で就労ビザや永住権の取得要件を厳しくしています。日本は安倍政権になり、就任当初は日銀総裁に黒田氏を招聘して為替を円安に誘導させて、輸出企業の業績を良くするなど日本の実体経済に良い風を巻き起こしましたが、3本の矢の最後の矢である構造改革で具体的な戦略を描けず、物価2%上昇を達成することも出来ず、多くの国民が現在の経済情勢に満足していない状況ではないでしょうか?中国も2000年代後半から経済成長に陰りが見え始めているのではと言われていたのが顕著になり、世界はインドや南米、アフリカ諸国に第二の中国を期待しているのではないかと思います。インターネット上ではニコニコ動画や YouTubeなどが出現し動画が気軽に見られるような時代になりました。YouTuber と呼ばれる人や海外生活を動画で紹介する人も多く、外国の情報は大抵気軽に手に入るようになりました。海外旅行も多くの人にとって気軽なものです。またAIなる言葉も登場し、将来無くなるであろう職種、どういう仕事で食べていくべきかなどが至る所で議論されている状況です。

この流れを踏まえて、では就職という観点から海外に出ていくべきでしょうか?
次回、この点について突っ込んで述べていきたいと思います。「歴史は繰り返される」。きっとそうだと思います。

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