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楽天の三木谷会長が移民政策に関して「移民に不安な気持ちもわからなくはないが、現実を見た場合にもはや他に手はない」とツイッターで言及し、各種メディアに取り上げられ多くの反響を呼んでいます。

Yahoo!ニュース上でのコメントは1,000を超えており、全てを見たわけではありませんが私が見た範囲では「賛成0、部分的に賛成0、反対100」という感じで、私個人的にはグローバル化が進んでいる21世紀の今でもここまで移民に関して反対が根強いのかと言うことにびっくりしています。

三木谷会長の賛成理由はイノベーション、技術発展、経済発展

三木谷会長が他に手はないと述べている理由について日本で人口が減少し、科学技術を発展させるためには海外から優秀な技術者を集める必要がある。高齢化に伴う労働力不足を補うためにも海外から移民を受け入れるべきとしています。

また、多くの反論を見越してか「不安な気持ちはわかるが」と前置きをし、「現実を見たら他に方法はない。その上でいかに日本らしさを維持していくことが必要」とも述べています。

ネット上のコメント

ネット上のコメントは「日本に移民は必要ない」、「治安が悪くなる」、「移民に頼ったところで、これらの問題は解決されない。問題は財政政策、金融政策、規制緩和」といった内容から「日本は小さな島国に既に一億人近くいるので、人口をこれ以上増やす必要はない」「楽天が安い労働力を買いたいだけだろう」、「人口減少で楽天の消費者が減って困るからだろう」など様々な反論が寄せられています。少し反対という感じでなくとにかく反対という強い反対です。

三木谷会長がイメージされていると思われる移民と日本国内でイメージされていると思われる移民

移民と言うと一括りにするのは難しいと思います。まず、前提として難民と移民は違うと思います。それをごっちゃにしているかのような感じのコメントもありました。そして、ネット上でのコメントを見ると、移民=東南アジアなど物価の安い国から技術研修などの名目で日本にやってきて安い賃金で働かされているというイメージをもって反対している人が多いのかなと感じました。かつてバブルが崩壊して日本経済が悩まされていた時に技術研修という名目で来日し、ものすごい安い賃金で働かされていたり、一部の人が失踪、事件を起こすといった事例が日本国内で確かにあったと思います。また、そもそも日本は単一民族の国家で町中で外国人を見かけるなんてことは80年代くらいまではほとんどなかったので、外国人を目にするということ自体に慣れていなく、外国人というとニュースで聞くそういう人たちだけという人も当時は多かったと思います。今でも東京などの都市部は別にして地方にいくとそういう所が多いのではないでしょうか?

一方、楽天は日本ではもちろん大企業ですし、海外にも進出し、外国人従業員も日本国内、国外に多くいると思います。三木谷会長もコロナが世界に拡大する前はアジアを中心に仕事で飛び回る機会も多かったのではないかと思います。恐らく仕事で会う外国人はアジア系であろうとアフリカ系であろうと英語もペラペラで勉強や向上心のかたまり、「俺はもっとできる。もっと仕事をくれ」という感じの出世欲の強いビジネスマンタイプでなかろうかと想像します。

グローバル化によって日本と諸外国の状況は逆転

私の投稿でもこれまで何度も書いてきていますが、グローバル化は進んでいます。多くのアジア系、アフリカ系、中南米系の人たちも欧米やオーストラリア、ニュージーランド、カナダなどの大学に留学していますし、アジア諸国の場合、学校では授業もテキストも全て英語、シンガポールやインド、マレーシア、フィリピンなどのように英語が共通語、公用語とされている国も少なくありません。そして、多くの人たちが留学を終えた後、現地企業でオフィスワークの仕事をゲットし第一線で活躍していますし、昇進してマネージャーや部長職そして更に上を目指しています。

最近のグローバル企業ではアジア・パシフィック地域のCEOやシニア・バイス・プレジデントなどの要職に東南アジアやインド系の人が就任するケースが増えてきてますし、かつてはアジア諸国はインフラもまだ整備されておらず、多くの人が経済的にその日を生きていくことさえ難しい状況で、物価や都市も日本と比べられなかったと思いますが、今はシンガポールであれクアラルンプールであれバンコクであれ、日本の都市とほとんど遜色ありませんし、物価もかつてほどの差はありません。経済的に発展したためか治安に関しても上記の都市部では日本と変わらないか日本より安全と感じることもあるかなと思います。

海外に出るとわかりますが、かつての「日本人=裕福、日本=経済大国、技術大国、治安が良い」や「外国人=貧乏、外国=治安悪い、犯罪を犯す」はまだまだあっても段々と過去の出来事になりつつあるのかなとさえ個人的に感じますし、今 「日本人=裕福、日本=経済大国、技術大国」と見ている人は欧米系であれアジア系であれどこの国の人であっても少ないと私の肌感覚では思うのが正直なところです。まず、海外のビジネスシーンで日本人を見ることがないですし、B to C 向けのビジネスはアップルやサムソンやファーウェイを始めとする欧米やアジア系企業が強いですよね。新製品の発売やハリウッド映画の上映などもかつては日本だけアジア諸国の中で唯一先行販売・先行上映の対象に必ず含まれていましたが、近年は日本がそのリストから外され、代わりに中国やシンガポールが必ず含まれるなんてことも珍しくないような感じになってきています。ハリウッド映画ではかつては日本が舞台になっていたこともしばしばでしたが、今はそれが中国に変わっています。

日本経済がこのまま衰退すると

日本経済がこのまま長期に渡って衰退しアジア経済が成長し続けると日本企業が本格的にアジアの大企業に買収されるようになってくると思います。そこに送られてくるあなたの上司はアジア系の人になるということも、これからどんどん増えてくるようになるのかなと想像します。

かつて駐在と言うと日本企業が海外に進出し、そこに日本から社員が送られて上司として現地社員を指導する、そして現地での住居費や生活費などは全て会社持ちで銀行の預金残高は駐在期間中どんどん増えていくみたいなことがあったと思いますが、これからはその逆のパターンで海外から日本にお偉いさんが送られてきて、日本人スタッフを指導する、日本での住居費や生活費などはすべて会社持ちで自分の口座の残高はどんどん増えていくみたいな感じになっていくのではないかと思います。

日本人の給料も「日本には吉野家、すきや、松屋とかめちゃくちゃ安くておいしいお店がいっぱいあるし(海外なら1,000円から2,000円くらいで出されるクォリティー)、家賃を始めとする物価も総じて他の国に比べて低いから、給料安くても心配ないよね」という感じで日本人にとってはますます不利になってくる状況が想像されます。

三木谷会長が移民政策に関して「現実をみて他に方法がない」と述べたのはこういった状況を踏まえての事ではないかなと推察されます。

将来の自分がどうなるかは今の自分次第

もし、今ご自身が40歳前後で年収1,000万円とか、部長職、支店長、エリア統括マネージャー、取締役などの要職に就いているという方なら、日本で定年まで頑張っていくことも良いと思います。恐らくその方が安定した生活を送れると思いますし、日本人というマジョリティの中に自分も加われて、言葉や常識、文化の違いなどもなく受け入れられるからです。

もし、今ご自身が10代~30代で収入も満足できるものでないあるいは40代で非正規で将来が不安、もっと稼ぎたいという方なら日本と海外の状況をよく見比べることがおすすめだと思います。 旅行で海外を自分の目で見てくるだけでも違うかもしれません(コロナが落ち着いて旅行が出来るようになったら)。上述の通り、東南アジアの都市部も今や日本の都市部とパッと見ただけなら全然違いがわからないですし、ドバイや中国の大都市など私はいった事ありませんが、「日本より進んでねぇ?今まで日本がすごいと思ってたけど、実はそうでもない?」とカルチャーショックを受けるかもしれません。

その差をまざまざと見せつけられてそれをきっかけに日本の将来や日本の将来を変えるには?ということを経済、政治、教育など様々な点から物事を考えて移民政策に関しても新たな考えが生まれるかもしれません。オリラジの中田さんを始め、成功されている方はとにかく情報収集に膨大な時間を割いていますし、中田さんは経済や政治、教育システム、移民政策による国民の多様性など様々な面から考慮して家族の将来も考えてシンガポールへの移住を決断されたんだと思います。バブル崩壊後、もし、日本が今と少し違う考え方や対策を打っていたら、もしかしていたら、バブル崩壊後の日本と世界を含めた経済の構図は今と少し違ったのかもしれません。

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