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オーストラリアでの就職及び就活は日本でのそれとは違うと思います。また、これはオーストラリアに限らずアメリカであれヨーロッパであれシンガポールやマレーシアなどの東南アジアであれ日本と比べた時に同様の事が言えると思います。

海外では専門性、即戦力重視

日本では専門性というと「1つの事しかできない」とか「専門バカ」というネガティブな捉え方がされることもあると思います。自分の仕事もできて、他の人の仕事も手伝えて、他人のパソコンやオフィスのコピー機などが調子が悪かったりしても、ちょっと見てすぐ直せたり、自分のためだけでなく他人のためにもてきぱき行動できる人って「できる」イメージがあって社内での好感度も抜群に上がりますよね。

しかし、海外での就職は専門性、即戦力重視。これに尽きると思います。自分の仕事さえ出来ていればよいですし、パパっと終わって早く上がれるなら「俺(私)、今日の仕事片付いたから」という感じでどや顔・見下しスマイルで定時前に上がることもあります(笑)。他人の仕事を手伝うなんてことはありませんし、同僚のパソコンが調子悪くて困っていても、もちろん直せるかパッと見て上げることはしても本当にパッと見るだけですし、基本的に「餅は餅屋」的な考え方なので、「自分のやるべきことだけやれば良い、同僚のパソコンの調子が悪ければ同僚がIT部門に電話して直してもらえば良い」。結果、専門性が重視されるわけです。

また、以下に示す通り、海外は日本と違い終身雇用を前提としていなく、1、2年で転職というのも当たり前なため、新しく入ってきた人は少なくとも前任者と同じように仕事をこなしてくれれば良いということもあります。そして、海外ではチームも少数精鋭ということもあり、新しく入ってきた人に1から10まで懇切丁寧に横に座って手取り足取り教えてくれるということはありません。もちろん、周りの人とかにいくつか質問したりはできますが、基本的に職場で使用されているシステムやエクセルファイルなどは自分で理解しないといけないです。

日本と海外の歴史的、文化的背景の違い

日本では終身雇用というものが昔からありました。最近は終身雇用は完全に過去のものという見方なのでしょうか?新卒から定年退職まで約40年をひとつの会社で過ごす。それは家族のような関係になりますし、実際家族より過ごす時間が長くなります。そして、いかに生え抜きを育てるか将来の幹部候補生を増やしていくかというのが会社にとっては長期で存続できるかの重要なファクターになりますし、そのため人事が主体となって数年ごとに社員のジョブローテーションを行い様々な部署、ポジションを経験させ総合性を身につけさせます。

一方、海外ではそもそも終身雇用という概念がないですし、期間の定めがない正社員的なポジションでも会社の業績次第で解雇ということもあります。その時その時でいかにベストなチームや人材を確保してパフォーマンスを最大化するかという考えはあっても、長期に渡って人を育てるとか考えていません。なので、働く側からすると自分でどういうキャリア設計をして収入や職位を上げていくかが大事になってきますし、就活や就職(転職)に関しても「今の会社で1、2年働いたらその経験を売りにして次はこの辺りの会社で1つ上のポジションを狙っていく。そして、5年後にはマネージャー職のポジションに就きたい」など受動的でなく能動的になっていきます。なので、1、2年で転職を繰り返していくというカルチャーが生まれるのではないかと思います。

オーストラリアでの就職に学歴は重要か?

結論を先に申し上げると、重要だと思います。ただ、これは日本のように東大、京大、早慶など特定の大学、学校を出ているかということでなく、最終学歴が大卒以上であることが重要だと思います。理由は以下の通りです。

  • ビザの関係
  • オーストラリアのある程度の規模の会社の要職を務めている人の学歴は高学歴

1. ビザの関係

オーストラリアで就労ビザや永住権を取るためにはその人がオーストラリアに利益をもたらす人材であることを証明しなければなりません。英語が喋れるとか立派な職歴があるとかもそうですし、学歴に関しては最低でも大卒が必要だと思います(オーストラリアのビザの種類は多数あるので全てのビザでそうかはわかり兼ねます)。また、オーストラリアは長年移住先として人気でここ20年ほどはアジアからの移住者も爆増し、オーストラリアの大学院に通ってマスターを取得している人も少なくないです。ビザの発給数には毎年限りがあるので、当然競争になります。そうなれば学歴も必然と高学歴化していくわけです。

2. オーストラリアのある程度の規模の会社の要職を務めている人の学歴は高学歴

Linkedin の登場で登録者の職歴や学歴を見ることも出来るのでわかりますが、オーストラリアは結構日本と似ていて学歴重視な感じがします。オーストラリアに限らず海外の大企業の要職の人のプロフィールを見ても有名大学出身であることが多いですし、人と話していても本人は無意識だと思いますが「○○さんってxx大の出身なんだって」とか、「○○大よりxx大の方がレベルが高い」といった話は雑談レベルでは結構あります(面接とか人事が自社の採用方針や昇進基準などを述べるときなどはもちろんありませんが)。

あと、これは海外特有かもしれませんが、やはり高学歴出身の人ほど専門性や身につけているスキルが高いように思えます。パソコン操作なども高学歴の人ほどブラインドタッチやエクセルなどに慣れているという人の割合が多いように感じますし、逆にそうでない人は家やプライベートで全くパソコンをいじる機会もなく、パソコンの電源の入れ方もわからないという人もいたりします。日本では人差し指だけでキーボードをたたく人というのは近年は少ないですよね?どちらが高い職位に就きやすいかと言えば明白だと思います。日本は多くの人が同じように高校、大学まで通い、同じような教育を受けて同じようなスキルを身につけていますが、それは海外の基準と比べると総じて高いように思えますし、海外では教育のバックグラウンドや家庭環境、文化的背景や個々の考え方、常識なども人によって全然違ったりすることもあるので、このぐらいの事は誰でもできるだろうと思うことでも全然できないとか日本よりわりかしあると思います。

スタッフは低スキル、少責任、低賃金。マネージャー以上で責任増加、高スキル、給料大幅アップ

また、海外の場合は肩書、職位によって求められるレベルや期待値も違うということもあります。例えば、「日本のサービスは神がかっている」というコメントをネットなどで多く見ると思いますが、日本ではお客様は神様で一番下のスタッフからトップの人までプロフェッショナルが求められ、そのように教育されます。お客さんがお店に入ったら、店内のあちこちから「いらっしゃいませ」という声が聞こえてくるのは当たり前ですし、お客さんもそれが当然と思っていますし、逆にそれがなければ「レベルの低い店員の店」、「二度と来るか」などボロクソ言われると思います。

しかし、海外ではお客さんがお店に入ってきても、店員は他の店員とクッチャべっているとか携帯の画面を見てお客さんはガン無視など当たり前ですし、日本のお店の店員のように常に正しい姿勢で立ってお客さんの来店を迎えているなんてことは見られません。海外ではスタッフレベルはそんな感じですし、お客さんもそういうものとして認識している人が多いので寛容です。これがマネージャーやそれ以上の職の人になってくると業績や顧客満足度といったKPIの数値に対する責任も課されるようになり、給料も上がりますが責任も増え、この時点からプロフェッショナル性を身につけていきます。これはサービス業の店員などに限らず経理や人事と言ったバック部門も同様です。

また、海外では高校まではあまり勉強せず、大学になって初めて膨大な宿題や深夜までの自習など勉強漬けになり、大学院でより一層専門的な勉強をしたりしますが、日本では例えば商業高校卒の営業マンで簿記1級取得済みという人がいたり、大原簿記学校卒などで在学中に簿記1級取得して税理士試験なども勉強して社会人デビューする人もいたりして、学生時代に遊んでばかりいた大卒よりも高卒や専門卒で既に社会人経験がある人の方が使えるという逆転現象すら見られたりします。

日本ではホリエモンなどのインフルエンサーが「(日本の)大学なんて行く意味全くない」と言っていますが、海外では高学歴というのは逆に言うとその人のスキルの高さをある程度担保するという側面もあり、ビザの取得や就活、昇進などでまだまだ学歴がモノをいう事が多い印象です。

オーストラリアで就職するには

以上の点からオーストラリアで就職するには専門性、即戦力となるべく以下が必要だと思います。

  • 就労ビザ、永住権等
  • 仕事に直結する学歴(高卒よりは大卒、大卒よりは修士卒、経理なら会計学専攻など)
  • 応募しようとするポジションと類似の職歴
  • 仕事に関連するスキル(エクセル、ERPなど)
  • 英語力(仕事で当然必要)

現在はコロナでどの業種もオーストラリア全般的に極度の人不足で誰でも良いから来てくれという感じだと思います。コロナ前はローカル企業で仕事をゲットするのは至難の業、ビザのためにインターンしたいという人で溢れかえっていましたが、今はインターンを確保するのも難しいという状況だと思います。ビザの要件も大きく緩和されていると思うのでオーストラリアに移住したいと考えられている方には大きなチャンスではないでしょうか?

コロナが終息する兆しが見えてくると、再び移民が増えて競争も再び激化するのでないかと思われます。

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