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日本の給与は海外と比べて低い?

ソニーが高度人材確保のため新卒の新入社員に最大で年収730万円を支給する給与制度をスタートさせるそうです。

記事によると技術系の職種では世界規模で展開しているグローバル企業では珍しくないとのこと。例として中国のファーウェイが挙げられています。

近年はIT系の職種が人手不足で、需要が高まりそのような高い年収のオファーを提示されることも珍しくないようですが、給与が高いと言われるオーストラリアに関してみても、そうでなければ初任給50万円というのはかなり好待遇だと思います。前回の投稿でカジュアルと呼ばれる日本の非正規的なポジションでも週5日働ければ月に$4,000前後稼げると言いましたが、それでも30万円から40万円で、あくまで経験がある人を想定しています。オーストラリアは即戦力重視で日本のように新卒をまとめて採用するというのはなく、新卒はまずアシスタント的なポジションを手にすることから始まるので、そういうポジションでは50万円というのは考えにくいと思います。

オーストラリアでは Graduate Management Trainee というポジションを設けている企業が大企業を中心に見られます。Graduate が卒業生、Management は経営、Trainee は研修生という意味です。要は卒業したての若くて優秀な人材を確保して将来の幹部候補を育てようというものですが、短期間で様々な部署、仕事を経験させて幹部候補に育てるにしてもあくまで「研修生」なので給与は一般スタッフの給料よりちょっと良いという程度のものです。日本でも最近はよくわかりませんが、以前は求人広告で「幹部候補生募集」というのを見かけましたが、Graduate Management Trainee はまさにそのような感じです。

また、ファーウェイは通信分野では世界でトップレベルの企業ですし、中国は現在世界第二位のGDP大国です。そんな企業に就職できるのは世界でもほんの一握りの人ではないでしょうか?そしてファーウェイやグーグルを始めとするIT企業は今の時代のトレンドに乗って最も勢いのある会社だからできることではないかと思います。ですので、標準って言ってしまうとちょっと言い過ぎでは?と海外で生活しているものとしては思ってしまいます。

なので、世界標準なんてことはないと思いますし、記事を読んで「日本はなんて初任給が安いんだ」なんて思われては誤解だと思います。考えてみてください。いくら日本が物価がこの20年ほど上がらないと言っても日本より物価が高い国というのはヨーロッパやアメリカ、オーストラリアなどごく一部です。東南アジアとの差はかなり縮まってきていると思いますが、それでもまだ差はあります。GDPだって日本は未だ世界第三位です。その国での一般的な初任給が20万円前後の時に世界標準が50万円なんてあり得るでしょうか?

また、記事ではそんな高い初任給にしたら中高年社員(通常、部長や課長など一定以上のポジションの人たち)より高い給与を新卒社員が手にする場合もあり嫉まれるのではと心配していますが、日本でなくたってどこの国でもそんなことになったら嫉まれますし、会社はそんな社内の雰囲気が悪くなるような環境を積極的に作るとは思えません。

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