オーストラリアには日本のような正社員、非正社員といった概念、区分けはありません。
日本では正社員であるかないかで、収入や将来の人生に直結する場合もあるので多くの人にとって正社員の職をゲットできるかどうかはとても重要なファクターだと思います。ではなぜオーストラリアではそのようなことがないのでしょうか?オーストラリアの一般的な勤務形態や労働条件を見ることで違いが垣間見えてるくると思います。
- オーストラリアの勤務形態
オーストラリアでは正社員、非正社員という概念はなく主にフルタイム、パートタイム、カジュアルという3つの勤務形態に分けられると思います。
フルタイムは文字通りフルタイム。日本では週40時間労働がフルタイムだと思いますが、オーストラリアでは週38時間です。1日当たり7時間36分の労働が週5日。とはいっても毎日7時間36分働いて退社するという人はあまりいないように思います。むしろ、月~金の週5日働くのであれば月曜から木曜までは8時間働いて金曜は6時間で退社するという風にする人が多いように思えます。オーストラリアもアメリカと同様に金曜は 「Happy Friday!」 があいさつ代わりになっていて金曜はみな早く上がろうとします。
また、フルタイムの中にも時給ベースで雇用契約がオファーされる人、年収ベース(日本のように月給表示することはあまりないように思います)でオファーされる人がいます。私の勤務先では時給でオファーされる人はスタッフ職の人、年収でオファーされる人はマネージャーなど特定以上の要職の人となっています。なので、大半の人が時給ベースの雇用契約で働いていることになります。
パートタイム、カジュアルはどちらもフルタイムではなく時給ベースでの契約になります。パートタイムは毎週月水金など決まった曜日、勤務時間を定めて働く勤務形態でカジュアルはそのような定めがなく会社、従業員がその時その時でお互いに合意した時だけ働くというスタイルで不定期です。なので、その日従業員が用事などあって働けないという時に会社が働いてくれないかと言っても断ることはできますし、逆に従業員が今週はいつもより多めに働きたいと言っても会社側の事情で働かせることが出来ない場合は会社が拒否することもできます。
2. オーストラリアの最低時給、割増し賃金
そのような違いからパートタイムには有休が付与されますが、カジュアルには付与されません。ただし、同じようなポジション、仕事の場合カジュアルはパートタイムの時給より25%増しで支給されなければならないというルールがあります。オーストラリアの最低時給は現在$18.93(新会計年度となる2019年7月から$19.49に上がります)。7月からはカジュアルであれば法律で定められた最低時給は$24.36になるわけです。オーストラリアドルの為替レートは1ドルが75円から100円あたりを行ったり来たりするので日本円に換算するのが難しいですが、現在では1800円ほど、円が安い時なら2400円あたりがカジュアル職の最低賃金になります。
そして、土曜、日曜、祝日でそれぞれペナルティー(割増し)が発生し、祝日に働けば時給は平日の倍以上になります。細かい割増しの数字はパートタイムとカジュアルで少しずつ違い、また各業界で設定している割増し具合もそれぞれ違うので割愛します。目安としては一般的にはカジュアルでも週5日働くことが出来れば月に$4,000前後、週末や祝日などうまく絡められれば$5,000前後稼ぐことはできます。ただ、物価も日本の1.5倍くらいはしますので、仮に日本円に換算した金額が50万円としても、物価を考慮すれば日本で言う30万円ちょっとの価値しかないと考えなければなりませんし、そこからいくら貯金できるかは学校に通っているいないでも違いますし、独身か所帯持ちでも全然違ってきますのですごく貯金できる人もいれば、多少貯金できる程度という人もいると思います。
3. オーストラリアのライフスタイル
オーストラリアでは日本で言う非正規的なカジュアルでもそれなりの収入が得られますし、年収ベースで契約できる人は極一部なのでカジュアルだからといって引け目を感じる人はいないです。また、マネージャークラスになって年収ベースの契約をして責任ある仕事でストレスをためるより、カジュアルで2,3カ所掛け持ちして週5日働ければストレスフリーでそれなりに稼げるからそっちの方が良いという人もいたり、働きたい時にガムシャラに働いてお金をためて、そのあと何か月あるいは1年ほど働かないで旅に出るという人もいます。国もワークライフバランスを重視していますし、それぞれのライフスタイルが尊重される風土があるので周りの目を気にする必要もないように思えます。
ただし、そうはいってもカジュアルは上述の通り不安定な雇用形態なので、今週は週5日働けたけど来週は週3日しかシフトをもらえていないということもありますし、景気が良い時は常に週5日働ける可能性は高いですが、景気が悪い時は会社はカジュアルから人員を削っていくようになるので、どこからもお声がかからなくなるというリスクもあります。辞書でカジュアルの意味を引くと何気ないとか思い付きのという意味があります。カジュアルの雇用形態は正にそのような感じです。
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