海外で生活してみたい/移住したいという方、少なくないと思います。多くの方が留学やワーホリなどを通して海外での生活を体験したいと考えていると思いますし、そして卒業後は現地で就職することも視野に入れている方も少なくないと思います。
そんな方々の疑問の一つに海外に出るのは早い方が良いのか?若ければ若いほど良いのか?というのがあると思います。海外で生活されている方や留学エージェントなどで様々なアドバイス、考え方を聞くことが出来ると思いますし、Youtube などでもこの点について多く語られていると思います。先日そんな動画の一つを私も見て、オーストラリア在住10年の私なりにこの点について考えてみました。多くの方が20代や30近くにワーホリや留学などで海外に出ると思いますが、私は40手前に移住したので超・超遅く海外に出た例外的なケースの人間だと思います。
①「若いうちに海外に出た方が良い」というのが多くの意見
Youtube などの動画で見ていると留学エージェントなり海外在住者、海外生活経験者の多くの方が若いうちに早めに出た方が良いと勧めています。理由としてはやはり若いうちから海外に出ている方が海外に慣れるのが早い(若い方が柔軟性がある)とか、迷っている暇があるならとっとと出るべきというようなアドバイスまであります。
日本とあらゆることが異なる海外。異文化に慣れるあるいは異文化、様々な人種の人との交流を経て自分の視野を広げるという意味ではまさにその通りだと思います。私もこの意味においては若ければ若いほど良いだろうと思います。
②海外に定住、永住することを前提とするなら長期的なプランが必要
海外にずっと住み続けたい、永住して、日本と同じような感じで仕事をしながら生きていきたいと考えられているなら、長期的な戦略、プランが必要だと思います。何故ならそうするためには永住権が必要になってくるからです。会社勤めするなら現地の人と同じように無条件で働けるビザが必要です。「このビザでは1年しか働けません」というように働ける期間、時間に制限のあるビザだと、いくらその人が優秀で会社が雇いたくても会社は雇いにくくなってしまいます。
実際にワーホリや留学などのビザで入国してそこから就労ビザ、永住権に繋げたいと思っても、近年(コロナ以前)は現実的にはほぼ無理な感じになってきています。何故ならそれが可能なら世界中から移民としてやってきて現地の人の雇用をあっという間に奪ってしまう可能性があるからです。実際に現在でいえば人口が10億を超える中国やインドからものすごい人の数が永住権を目指して欧米やオーストラリア、ニュージーランドなどにやってきていますし、それ以外にも経済成長著しい東南アジアや中東、アフリカ、南米からもオーストラリアにやってきて永住権を目指しているわけです。オーストラリアの人口は約2,500万人。インドや中国からそれぞれ1%の人達がやって来るだけでオーストラリアの人口とほぼ同じくらいの数になってしまいます。
そこに空いている椅子(雇用)がある。椅子取りゲームのように早い者勝ちとなったらその人たちがあっという間に取ってしまい、他の人達が入り込める余地はないと思います。だからこそ、就労ビザや永住権は取得するのにものすごく厳しい条件を課しているわけです。
大学卒業後など若いうちに海外に出るという事は、仕事のスキルや職歴がないあるいはほとんどないとなってしまいます。上述の通り、世界中から移民としてやってきて競争が激しい中、無事サラリーマン的な仕事をゲットできるでしょうか?日本人の場合、それに加えて英語が不得手というハンデのある方も少ないと思います。
②海外で仕事をしながら永住することを目指すなら、「日本で学べることはたくさんある(by イチロー)」
元メジャーリーガーのイチローが引退会見の記者からの質問で、「メジャーリーグで活躍することを考えるなら早い段階で移籍するより日本でしっかり基礎を学んでから移った方が良い」、「メジャーでは個々の運動能力は高いが基本的な動きやチームプレイなどは日本の中学生レベルのほうが高いかもしれない。チームの連係プレイなど日本では言わなくてもできることが向こうでは全然できないし、かなりその部分では苦しんだが、苦しんで結局諦めた」と述べていますが、私自身が40手前に移住して、オーストラリアで現地の人や移民の人たちと仕事をしながらあるいは海外で奮闘している日本人を見ても野球に限った話ではなく仕事においてもそのように感じます。
海外で仕事をゲットするなら経験やスキルが必要。それらは海外で得るより日本で得る方が簡単
オーストラリアを始め海外の多くの国では、即戦力重視だと思います。日本人が海外で働く場合、海外の仕事の仕方や海外のシステムを覚えたり、英語のハンデを克服しないといけなかったり現地の人と比べてクリアするべき課題が多くあります。単純に外国人という事だけでも現地の人より自分のほうが凄い、価値があると思わせなければなりません。
上述の通り、競争が厳しいなら日本で仕事の経験を積んでから乗り込むというのも一つの方法だと思います。日本でなら自分は日本人なのでハンデはないですし、また、日本でなら先輩や上司が手取り足取り教えてくれたりすると思います。海外では基本的に自分でシステムの操作から仕事で使用しているエクセルファイルなど全て理解、覚えていかないといけません。
日本人の仕事に対する姿勢は異常値、持っている技術は超優秀
日本人の仕事の丁寧さ、緻密さは異常値です。多分日本以外でこれほどの国は他の先進国でもないと思いますし、私も40手前まで日本でサラリーマンをやってから海外に出たことで、日本と海外のサラリーマンの働き方(スタイル)や仕事の精度を比較することが出来ますが、日本人と仕事をした方が仕事の計画も立てやすく楽チンです。まず、ミス・間違いがそもそも少ないですし(海外はまずミスのオンパレードでそれを直すことが最初の仕事)、期限は守られないことも日常茶飯事。日本でしっかり基礎を学べば海外に出て仕事をしても恐らく超優秀と見なされると思います。
逆に日本での社会人経験なしにいきなり人生初めての仕事が海外となってしまうと、こういった事は学べないでしょうし、海外の雑なやり方がその人のスキルとなって身についてしまい、20代、30代はそれでも良いかもしれませんが、40代とかある程度上級職に行くとそこからものすごく苦労すると思います。であるならば、長い目で見るなら若いうちから海外に出ていくことが必ずしも良いでしょうか?私は40手前に海外移住したものとして、遅くに海外に出ることのメリットはこの部分だと思います(40手前はさすがに遅すぎるかもしれませんが)。
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