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日本へ休暇で一時帰国してきました。日本の夏はやはり体に堪えますね。エアコンつけっぱなしという生活はもう何年もないので体がおかしくなりました。オーストラリアではパースやシドニー、メルボルンなら夏や冬でもエアコンはほぼいりません。年に数回ものすごく暑かったり、寒かったりする日があり、その時はつけたりしますがその程度です。

さて、今回新たに感じたこと。日本も物価が上がっている。総菜パンが1個300円近く普通にしたり、カップ麺なども200円台後半から300円越えの物ばかりでしたし、もちろん以前と同じような価格に抑えているものもありましたが、全般的に値上げされているなぁという印象でした。スーパーで商品を10品程度選んで会計に進んだら4,000円越えとか、レストランなんかも昔からあるようなお店はランチが1,000円切るようなところもありますが、こじゃれたお店だとランチで1,600円とかちょっと前までは考えられないような値段で出してるところもいくつか見ました。給与なんかも知り合いの話だと今年は結構上げてもらえたそうで、結構日本の会社でもそういう所が多いんじゃないかと言っていて、2年前とはずいぶん違う様子でした。そんな新しい発見をし、日本とオーストラリアの事を比較しながらオーストラリアに戻ってきた私ですが、一方で近年の出稼ぎブームでオーストラリアで就職したいという方も増えているのではないかと想像します。

オーストラリアで就職するには(普遍的なもの)

まず、以前の投稿でも何度も述べていますが、オーストラリアで就労するには就労が許されているビザが必要です。ワーキングホリデーや学生ビザなどでも就労が許されていますが制限が課されており、長い期間の移住、永住ということで考えるなら就労ビザや永住権になると思います。

そして、英語力。具体的な英語力というのは一概に言えませんが、現地の人達と意思疎通が問題なく仕事ができるレベルです。その意味では IELTS なら7.0、TOEICなら900点は欲しいところ。

最後に仕事に関する職歴、学歴。これも何でも良いというわけではなく応募する仕事に関連する職歴や学歴です。例えば経理職なら経理関係の職歴や会計学専攻などの学歴。オーストラリアでの職歴があればばっちしですが、なければ日本での職歴でも採用してくれるところもあると思います。

オーストラリアで就職するには(2024年9月時点での状況)

上記のビザや英語力、職歴、学歴というものはいつの時代も必要とされる普遍的なものです。そして、更に現時点での状況を考慮する必要があります。

ビザ、移民政策の方針

2024年9月現在、オーストラリア政府は移民を制限する方へ向かっています。理由は2022年、2023年に移民を増やし過ぎてしまったため。コロナ脱却後オーストラリアは日本と同様に深刻な人材不足に陥りました。町中のどこのお店も「スタッフ急募!」のポスターが張られていたり、「本日は働けるスタッフがいないため閉店」となっている店もたくさん見かけました。そこで、オーストラリア政府はビザの取得要件を緩和。永住権もコロナ以前より2桁多い数を出していたと思います。その結果起きたのが極端な住宅不足。また、サプライチェーンの崩壊も加えてか物価も急上昇。政府は物価を抑えるために金利をどんどん上げていき、オーストラリアに住んでいる人の生活がものすごく苦しくなり、こうなったのは移民を増やし過ぎたためと結論づける国民やメディアの声も大きくなっていきました。

そんな中で昨年12月オーストラリア政府は今年の移民政策の方針を発表して移民を制限する姿勢を明確にしました。学生ビザは許可が出ないケースも増えているようで、本当に就学目的なのか厳しくチェックされるようです。これまでは学生ビザでオーストラリアに入国し、卒業後就労ビザや永住権が取れるまでひたすら学生ビザを更新するビザホッパーというのがオーストラリアでは常態化していました。現在のオーストラリア政府としてはスキルのある人にオーストラリアに長く住んでもらいたいというのがあります。学生ビザの取得者なら卒業後2,3年以内に就労ビザや永住権などをゲットして欲しい。できないなら、スキルがないとみなして母国に帰ってもらいたいという姿勢に切り替えています。

なので、これまでの学生ビザ→卒業生ビザ→就労ビザ・永住権という多くの人にとっての王道の道は2024年9月の時点ではハードルが上がっていると思います。特に卒業後2、3年以内に就労ビザ、永住権に繋げてくれというのはハードルが高くてリスクがあると思います。なぜなら、世界中から留学生としてオーストラリアにやって来てその中には小さい頃から英語をしゃべっていて英語がペラペラな人も大勢いるからです。2010年代後半からとりわけ、インド、スリランカあたりの若者世代が大量にオーストラリアにやってきていますし、現在は中東からの移住者も増えているように思えます。アフリカも経済成長し始めるとそこからも大勢の若者がやって来ると思われ、益々競争は熾烈になると思われます。

技術独立ビザ

オーストラリアの永住権の一つに技術独立ビザ(サブクラス189)というものがあります。これは自分の有しているスキルに関して企業や州の推薦、スポンサーを必要とせず自己推薦で応募できるという非常に魅力的なビザです。スキルはどんなスキルでも良いというわけではなく移民局が公開している職業リストに載っている必要があります。

https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/working-in-australia/skill-occupation-list

他の就労ビザ、永住権だと企業なり州政府なりの推薦、スポンサーが必要になり、これがビザの取得を非常に難しくしています。しかし、この技術独立ビザに関してはそのような推薦を必要としないので、多くの人にとってチャンスがあるわけです。

ただ、そのようなビザなので競争は激化し、超レッドオーシャンです。移民局としてもあまりにも応募が多くなってしまうと困るので、応募できる条件を設けています。すなわち、英語力、職歴、学歴など。それらをポイント化し合計のポイントが65点を超えれば永住権の応募の意思を示すことが出来ます(Express of Interest)。移民局は意思を示した者の中から得点の高い順に招待状を送り、招待状を受け取ったものが永住権の申請をできます(もちろん申請の際に書類のチェックなど行われます)。近年は招待状を受けるのに90点以上必要な場合が多く、日本人にとっては現実的な点数でないと思われます。例えるなら大学受験で偏差値80取るような感じでないでしょうか?

https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/working-in-australia/skillselect/invitation-rounds

就労ビザ

オーストラリア政府はスキルがある人にオーストラリアに長く移住してもらいたいという明確な方針があります。これまでは技術独立ビザが多くの人にとってチャンスが大きいビザでしたが、上述の通り既に超レッドオーシャン状態でこの傾向は中東やアフリカが経済成長するにつれ更に激化すると思われます。なので、これからは技術独立ビザを狙うより就労ビザの取得に挑戦する方がその後の永住権にも繋がりやすく、永住への近道になるのではないかと思います。

就労ビザは企業や州のスポンサー、推薦が必要です。しかし、もしあなたが仕事のスキルがばっちりで、職歴も十分、英語力も仕事に差し支えない程度の英語力があると見なされれば、企業や州からのスポンサーを得るのはそんなにハードルが高くないと思います。私も日本で仕事をしながらオーストラリア企業に就労ビザのスポンサーを承諾してもらい、その後オーストラリアのパースに移って普通に2年間働いていたら永住権申請の条件をクリアしたので申請して取得。なので、ビザの取得に関しては一切苦労はしていません。

一方、多くの人は毎年技術独立ビザに挑戦し、招待状が届かずポイントを上げるために学生ビザを更新してポイントを上げて再び挑戦というプロセスを何年も繰り返していると思います。皆同じような事をしているため、招待状が届く最低点が毎回上がっているからです。当然、その間に高い学費を払い続け、学費を賄うため・職歴、経験を積むためにバイトもし、卒業するために夜遅くまで猛勉強という生活を何年も続けている人は私の周りでもたくさんいました(彼らは2022年のビザの緩和でようやく永住権を取ることが出来ましたが)。

どちらが近道かは明白だと思います。就労ビザはスポンサーさえゲット出来ればブルーオーシャンです。何故ならスポンサー自体がスキルの証明の役割を果たしていて他人と競争する必要がないわけです(もちろん企業がスポンサーをするような人は就労ビザの条件をクリアする職歴、スキル、英語力など既に持っている場合が多いです。いくらスポンサーしたくても例えばビザの申請条件に定められている英語力(IELTSの点数など)がなければビザの申請は出来ません)。

企業側からするとスポンサーをするとなると高いビザ費用を払わないといけないですし、申請書類の準備も大変ですし場合によっては移民局からのチェックも受けます。しかし、企業は同時に即戦力の有る優秀な人材を常に必要としています。

スキルをゲットするには日本で経験を積むことがおすすめ

以上を踏まえて、永住権への近道はやはり日本でスキルを高めることだと思います。現在、出稼ぎブームで多くの日本人が英語力やスキル、職歴不足の状態でオーストラリアにやってきますが、その状態ですと働けるところは日本食レストランなどに限られてしまい、そのような場所はワーホリの急増などで仕事をゲットするのが難しくなっていると多くの人が Youtube で嘆いています。また、現在の住宅不足問題で高い家賃を数か月払い続け、日本で作って来た貯金は底を突き何もすることが出来ず泣く泣く帰国となってしまうケースもあるようです。

しかし、日本でしっかりスキルを身につけることが出来れば、日本食レストランなどに限らずオフィスワーク系の仕事にアプライすることも可能ですし、日本での経験も職歴、スキルと見なしてくれる企業もあると思います。同じ業界であれば使用しているシステムやエクセルファイルなどが日本も海外も同じというところが多いのではないでしょうか?日本でならあなたは日本人なので外国人ハンデを背負う必要もないですし、日本の方が手取り足取り先輩社員や上司から教えてくれると思います。外資系なら、仕事で英語も使う機会もあると思いますし、自然とビジネス英語も身について一石二鳥です。

日本で5年働いた後、同じ業界の現地企業に応募する。システムの使用経験もばっちりで仕事で使用する英語も既に習得済み。違和感なく現地企業に溶け込んで仕事できると印象付けられれば、採用の確率は上がると思いますし、企業も就労ビザや永住権をスポンサーをしてくれると思います。

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