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オーストラリア英語は俗にオージーイングリッシュと言われ、アメリカ英語とは異なる部分が多々あり独特と言われています。

一般的に知られていることから実はあまり知られていないことまで多岐にわたり、最初はなかなか理解が難しくとっつきにくく感じる方も多いと思いますが、少しづつ独自性を理解していくうちに、「え、そんな言い方するの?」とか「なんでそんな風に変化するの?」というふうにアメリカ英語やイギリス英語にない変化に興味が湧いてくるようになります。

オーストラリアで話される英語

オーストラリアは旧英国領であったことから、イギリス英語(とりわけコックニー地方)がベースになっています。そこにオーストラリア独特の変化が加わりオージーイングリッシュとして認知される英語が話されています。また、オーストラリアは移民大国。様々な国の人たちが母国の訛りで早口で喋るので、リスニングのハードルをさらに上げていると思います。

アメリカとオーストラリアの違い

アメリカではアメリカのアクセントで喋らないと現地の人から「何言ってるかわからない」、「英語しゃべってくれる?」とダイレクトに言われる場合もあるかと思います。そのため、日本人であろうが中国人であろうがヨーロッパ人であろうが、しっかりアメリカのアクセントで喋るように練習すると思いますが、オーストラリアでは現地の人はフランス訛りだろうが、中国訛りだろうが、日本訛りだろうが一生懸命理解しようとしてくれるので、移民の人たちは皆訛りを気にせず自由にしゃべる感じです。

これはアメリカとオーストラリアの人口や移民の割合などの違いが関係しているのではないかと思われます。

人口 移民
アメリカ 約3億人 13%ほど
オーストラリア 約2,400万人(*) 3割
(*オーストラリア国籍保持者のうち4分の1がオーストラリア以外の国で生まれている)

移民の数で言えばアメリカのほうが多いのかもしれませんが、割合、密度としてはオーストラリアのほうが圧倒的に多いのです。実際にオーストラリアの都市部及びその近郊では街中を歩いていて見かける白人、非白人の割合は感覚的には半々くらいな感じですし、レストランなどもアジア系、ヨーロッパ系、その他の地域の料理屋があちこちに混在しているのに対し、アメリカではチャイナタウン、リトル東京のように特定の場所に行けばそこに中国人、日本人などが集中して集まっていて、中華料理屋、日本食レストランも多く見かけることができますが、通常、街中では圧倒的に白人であったり西洋のお店しか見かけないという地域が今でも多いのではないかと想像されます(私はアメリカを20年近く訪れていないので、今はそんなことはないと思われる方がいらっしゃったら、すみません)。

またヨーロッパ系の移民が多いオーストラリアですが、ヨーロッパ人は仕事を求めて陸続きにヨーロッパ各地を移動することが多く、英語以外のヨーロッパの言語2,3か国語喋る人も少なくないです。彼らは外国語を習得する難しさ、大変さを良く理解しているので、ネイティブでない人の訛りや文法の細かいミスなどには寛容です。

オージーイングリッシュ

そんなわけで、オーストラリア英語を見ていきましょう。オーストラリア英語の特徴と言えば大きく次の点が挙げられると思います。知ってると思われるものもあれば、「へぇ、そうなの?」と思われるものもあるかと思います。

1.発音の変化

オーストラリア英語の特徴はアメリカ英語と違い舌をあまり動かしません。アメリカ英語ではRの発音はしっかり舌を巻いて発音しないと通じませんが、オーストラリア英語では日本語の「あ」と同じような発音になります。また、Apple の A もアメリカ英語では[ae]の発音をしっかりしないといけないと思いますが、オーストラリア英語ではやはり日本語の「あ」と同じような感じの発音になります。

[ei]の発音が[ai]に変わる

Today は「トゥデイ」でなく「トゥダイ」と発音される。これは日本でも有名な話だと思います。ただし、実はこれはシドニーやメルボルンなどではその通りですが、パースではこの変化は見受けられません。パース及びオーストラリア大陸の西側ではローカルの人も Today は「トゥデイ」と発音します。

「a」の発音が常に[ei]と発音されるとは限らない
単語 発音(○) 発音(×)
Australia オーストラーリア オーストレイリア
Tomato トマート トメイト

ローカルの人はこれらをどう発音するかであなたの英語のベースがわかってしまうなんてこともあります。

er/ar/orの発音は日本語の「あ」のように舌を巻かずにはっきり発音

上述の通りオーストラリアではRの発音は舌を巻くことはほとんどないです。

単語 発音
Car カア/カー
September セプテンバ
Doctor ドクタア/ドクター

これらの単語は日本語読み的に発音すれば十分伝わります。

Melbourne は[Melbn/Melben]、Brisbane は[brizbn/brizben]

何度も言いますが、オーストラリア人はアメリカ人のように舌を忙しく動かしません。[Melbn/Melben](ブンのところが「う」というより「え」と「う」の中間のようなあいまいな発音です)。Brisbane も同様に[brizbn/brizben]で日本語のようにはっきり「ベン」と発音せず「う」と「え」の中間のような曖昧な発音になります。「メルボーン」とRのところでしっかり舌を巻いて発音したり、字面通りに「ブリズベイン」と発音すれば、あなたの英語のお里が知られてしまいます。笑

Exactly は「エグザクリー」、probablyは「プロブリー」

しつこいですが、オーストラリア人はアメリカ人のように舌を忙しく動かしません。代わりに一気に早口に喋ろうとする傾向があり、その過程で Exactly のように「クトゥリ」と子音が3つ重なるような単語は2つの子音に縮められることがあります。アメリカ英語でも「エグザクトゥリ」と発音されても「トゥ」の部分はしっかりとではなく軽く発音される感じだと思いますし、会話の中で「トゥ」が抜けたところで理解に苦しむことはないと思います。

2.語尾の変化
語尾が「o」に変わる
標準英語 オージーイングリッシュ
Service Station Servo
Afternoon Arvo
Fremantle(地名) Freo
Avocado Avo
語尾が「i」または「ie」に変わる

 

標準英語 オージーイングリッシュ
Breakfast Brekkie
Sick Sickie
Biscuit Bickie
Subiaco(地名) Subi

以上の点を踏まえて、英語学習という観点からはオーストラリア英語よりアメリカ英語を学習する方がとっつきやすいかと思います。アメリカのアクセントに慣れさえすれば、後はひたすら単語を覚える、文法を理解するということに専念するだけでいいからです。オーストラリア英語は生き物のように様々な影響を受けて変化しているので、英語学習という点では困惑する部分もあるのではないかと思ったりもしますが、グローバル化に伴いアジア系の英語(旧英国植民地が多くイギリス英語がベース)も影響力を増していることや、将来海外で働きたいあるいは移住したいと考えた場合には、東南アジアを中心に日本人の需要があるという現実を考えると、それらに近いオーストラリアの英語を学ぶことも利点があると思います。

特に語学留学をする場合、アメリカへ留学するとアメリカ英語は身についてもイギリス英語、オーストラリア英語、アジア系の英語には全くついていけないという現象が起きる可能性が大です。オーストラリアはイギリス英語がベースですし、イギリス、アジア系(中国、シンガポール、インド、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピン)、ヨーロッパ系移民も非常に多く、様々な英語に触れることができるのはアメリカにはない非常に大きなメリットです(慣れるのに最初は大変ですが)。

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