オーストラリアに来られたことがある方なら経験していると思います。レストランや買い物などでカードで決済する時、請求金額に1%ちょっとプラスアルファが上乗せされている Surcharge (サーチャージ)という謎の金額。
サーチャージとは追加で上乗せされる費用の事
サーチャージとは追加で上乗せされる費用の事です。クレジットカードに限らず、オーストラリアの場合、レストランで飲食すると場所によっては週末なら Weekend Surcharge として会計の金額に5-10%上乗せされたり、祝日なら Public Holiday Surcharge として会計の金額に15%ほど上乗せされたりすることがあると思います。
追加で上乗せする目的はそのお店が負担する費用を利用客に転嫁するためです。クレジットカードサーチャージならクレジットカード加盟店(お店)がクレジットカード会社から請求される加盟店手数料をカード利用者に転嫁する、週末、祝日のサーチャージはお店で働くスタッフの割増賃金(オーストラリアでは週末や祝日に働くと割増賃金(平日の時給のプラス50%-250%ほど)を補填するために利用者にその一部を転嫁するためです。
そんなのあり?と思うかもしれませんが、オーストラリアでは結構普通にあります。何故ならクレジットカードの費用だったり、従業員の割増賃金というのがお店を経営する事業者にとってものすごく大きな負担となっていて、利用者に転嫁しないと経営が難しいからです。一般的に飲食店の利益率が低いというのはオーストラリアにしろ日本にしろ同じだと思います。実際にはオーストラリアの方が人件費は高いのでより厳しい人件費のコントロールも要求されます。
日本ではクレジットカードの加盟店手数料をカード利用者に転嫁するのは加盟店規約で禁止されているので、サーチャージを見かけることはありませんが、オーストラリアでは国がこれを良しとしているため一般的です(ただし、加盟店手数料を超えるような不当な金額の上乗せはダメです)。
日本ではサーチャージというとたまにホテルでサービス料、サービスチャージなどの呼称で10%ほど上乗せして徴収するところがあったりしますが、それ以外で見かけることはないと思います。このサーチャージはホテルの人件費や諸費用をカバーするためだと思います(アメリカのようにチップの習慣がないので)。
最近はデビットカードの普及で違いがあいまいになりつつある
クレジットカードは現金を持たずに決済できるという利便性で海外では広く流通しています。しかし、オーストラリアの場合、一括払いで支払期日までに支払えば利息はかからないところが多いですが、遅延したり分割払いにした時などの金利がものすごく高く、カード利用者の不満になっていました。そこに登場したのがデビットカード。デビットカードなら本来クレジットカードサーチャージはかかりません。
デビットカードは見た目はクレジットカードと全く一緒と言っても過言でありません。16ケタの番号に有効期限、CVV番号など。唯一の違いはカードの表面に「Debit」の文字が入っていることぐらいでしょうか?
しかし、実際にはデビットカードはクレジットカードと似て非なるものです。詳細は以前の投稿で詳しく述べていますので、ここでは割愛してそちらを参照してください。
クレジットカードとデビットカード” is lockedJ-17 クレジットカードとデビットカード | Hiro-M’s
大きな違いはデビットカードはカード所有者の銀行口座と紐づいて支払いと同時に口座から引き落とされますが、クレジットカード決済の場合はクレジットカード会社が立て替え払いをし、後日カード所有者に請求が来ます。
しかし、上述の通り見た目が全くクレジットカードとほとんど変わらないデビットカード。お店側の人とてパッと見でお客さんが持っているのがクレジットカードかデビットカードか見分けがつきません。最近はスマホ決済(Apply Pay、Google Pay など)も普通なので実際のカード自体を目にすることもないと思います。テクノロジーの進化はうれしいですが、これが益々この辺をややこしくしているのが実態だと思います。デビットカードで払っているのにクレジットカードサーチャージが取られているなど。
デビットカード払いでクレジットカード手数料が上乗せされている場合も
上の2つのレシート。どちらも同じ日に同じスーパーでデビットカードで支払われています。お店はオーストラリアでよく見かけるALDI。このスーパーは「クレジットカード決済の場合、0.5%のサーチャージを頂きます」とレジで明示されています。
左のレシートは会計の金額 $6.98に対し、$0.03のサーチャージが上乗せされ $7.01が請求されています。右のレシートは会計の金額 $13.98に対し、サーチャージは上乗せされていません。同じデビットカードで決済されているにもかかわらず。
どちらもデビットカードでの支払いなので本来ならクレジットカードサーチャージは請求されるべきでなく右のレシートの方が正しいわけですが、実際には左のレシートの通り、クレジットカードサーチャージが上乗せされているなんてことの方が多いのではないかと思います。
ALDI はクレジットカードサーチャージを請求していますが、他の大手スーパーの Coles や Woolworths は請求していません。なので、Coles や Woolworths で買い物をする場合はこのような不具合や心配をする必要はありませんん。
レストランやホテルなども同様にサーチャージを請求してくるところではレシートをよく見ることが必要です。
サーチャージを乗せるかどうかはお店次第
クレジットカードサーチャージを乗せるかしないかはお店次第です。しかし、最近のテクノロジーの複雑化によってお店側が意図していなくてもデビットカード支払いなのにシステムがサーチャージを乗せてしまっているというケースが結構あると思います。
クレジットカードサーチャージを回避するには
私も全てのお店で試したわけではないのでこの方法でやれば絶対に回避できると断言できるわけではありませんが、クレジットカードサーチャージを回避するには以下の方法しかないと思われます。
- デビットカードで支払う
- スマホ決済・タッチ決済でなく実際にデビットカードを端末に差し込む
- Saving (口座決済)を選択しPIN番号を入力する
まず、当たり前ですがクレジットカード決済の場合は逃れようがありません。また、デビットカード決済の場合、口座に紐づけされていて即口座から引き落とされるので、その口座の残高に注意が必要です。残高に余裕があればデビットカード決済の選択肢がありますが、そうでなければ現金あるいはクレジットカード決済しか選択肢がないかと思います。
ALDIだけでなくいくつかのお店で試しましたがこれで回避することが出来ました。また、以前にクレジットカード端末を提供している業者の方とも話したことがありますが、現状はこの方法でしか回避することが出来ないと聞いたこともあります。理由はスマホ決済、タッチ決済の場合、そのカードがクレジットカードかデビットカードか認識できないそうです。なので、そのお店が自動的にサーチャージを上乗せするよう設定しているとデビットカード支払いでも自動的にサーチャージが上乗せされてしまうようです。この辺の仕組みはお店の人も良く分かっていないと思われ、結果的に意図していなくてもこのような不具合が起きてしまうと思われます。実際に私が訪れた ALDI の店舗でもサーチャージを請求する旨の説明書きはされていましたが、デビットカードで支払った場合にサーチャージを回避する方法の説明書きはありませんでした。多分、レシートを持って行って見せても店員も困惑して回答できないのではないかと思います。
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