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オーストラリアの確定申告について

オーストラリアは確定申告の時期に突入しました。ここでは日本と比較しながら違いを述べていき、申告のざっくりとした流れを説明していきたいと思います。なお、私は公認会計士や税理士といったプロではないので、税法や課税、非課税などの詳細については述べられません。また私が以下に述べる内容はあくまで一般的な内容で、留学生の場合、ワーホリの場合など特定のケースを想定しての説明は出来かねますので、以下に述べることが当てはまる場合、当てはまらない場合もあるかもしれないことをご了承ください。特にオーストラリアでは日本人は外国人で留学生やワーホリの方というのは特殊な立場だと思われるので、詳細は税の専門家に相談されることをお勧めします。

1. 収入の計算期間

日本では(法人等でなく)個人の場合、その年の1月から12月までの収入を年末調整や確定申告という形で税務署に報告しますが、オーストラリアでは会計期間が7月~翌年の6月なので確定申告もそれに合わせています。

2. 日本の源泉徴収や年末調整といったシステムはオーストラリアにもあるか?

オーストラリアで居住して働いて給与をもらっている場合、一定以上の収入金額から所得税が課されて日本と同様に源泉徴収されます。日本では年末に勤め先の会社で年末調整が行われ(一部例外あり)、給与所得の部分に関しては会社で全従業員の給与収入や税額を確定させて従業員に代わって税務署に申告して完結するので、不動産や株など他に収入がなければ、自分で税務署に申告をするという作業は発生しません。日本ではサラリーマンの多くの人が税務申告を経験したことがないと思いますが、理由はこのためです。

しかし、オーストラリアでは年末調整というものがないので、給与収入しかないサラリーマンでも自分で申告をする必要があります。しかし、手続き自体はオンラインでできますし、日本のように申告会場で長い行列に並ぶという必要もなく、あるいはe-TAXをするにしても電子証明書の取得など利用環境を整えるのが手間だったりするので(オーストラリアは user ID を使ってログインするだけ)、そういう意味ではオーストラリアの方が良いなと感じます。

3. 申告のプロセス

6月の最後の給与が支払われた後、会社の給与計算担当者は各従業員の個人情報や年間の給与収入等に間違いがないかをチェックし、問題がなければ全従業員のデータをATO(日本の国税庁のような機関)に提出します。そして各個人は申告期間中に(7月から10月)オンラインでログインするとそこにはすでに会社から送られた収入データや住所等の個人情報が反映されていて、それらに間違いがないかチェックしたり、不動産や株など他の収入があればそれらを加えたり、給与収入から控除できる経費などがあれば、それらを追加して申告を完了させます。

日本ではマイナンバーが導入されていると思いますが、オーストラリアではTFN(Tax File Number) という統一番号が導入されていて、税務申告だけでなく健康保険や失業手当、年金や子供を扶養するためのサポートなど様々な行政サービスに使用されていて、この番号は一人につき一度しか発行されない大切な番号となっています。

オーストラリアで働く際には勤め先から最初にTFNの提出を求められます。もし初めての仕事でまだTFNを取得していない場合、勤め先からATOに行ってTFNを取得するように言われると思います(給与を支払うためにはTFN情報がないといけません)。そして、この番号を取得すると myGov というサイトに登録することが出来そこから税務申告や各種行政サービスのページに飛ぶことが出来るので簡単で便利です。

申告を完了するとその時点で源泉徴収額と最終的な確定された税額の差額を支払う・還付されることになります。日本では源泉徴収票が渡され別途給与計算書に追徴あるいは還付税額が記載されていると思います。年末調整ではここまで(給与収入の部分のみ)を会社が行います。 給与収入以外の収入がある場合あるいは給与収入のみでも年末調整の対象外になっている場合には会社から源泉徴収票をもらった後、確定申告という形で自分で税務署に申告すると思います。

以上、簡単な流れの説明ですが、日本とオーストラリアどちらが良いかと聞かれれば、年末調整というシステムがある日本の制度は納税者側からするととても良いと思います。会社が自分の代わりに申告してくれるわけですから。しかし、確定申告のプロセス自体はオーストラリアの方が簡単で楽です。日本のe-Tax はマイナンバーの取得、 電子証明書の取得が必須ですし、電子証明書にマイナンバーの情報を読み込ませる機器もいるなど、簡単ではないと思います。私は現在オーストラリアに住んでいますが、日本でも申告義務があるので今でも毎年確定申告をしていますが、e-Tax は利用していません。収入も経費も大体毎年同じなので、エクセルで記録して国税庁の申告書作成のページで申告書を作成して、郵送しています。

ではなぜ、日本では年末調整という制度があってオーストラリアではそういうシステムがないのでしょうか(アメリカもないですし、他の多くの国でもないと思います)?次回はその辺について推察していきたいと思います。

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