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先日発表された新しいビザ。その名も MATES ビザ。

MATES – Fact Sheet (homeaffairs.gov.au)

まず、このビザは日本人は対象となっていません。インド人限定の就労ビザです。「なーんだ、じゃあ関係ないじゃん」と思われると思いますが、オーストラリア政府が「インド人限定」で発行する優遇ビザであるということを知ってもらいたいです(←日本人にもそういうの出してほしい)。

このビザの創設の背景には昨年オーストラリアのアルバニージー首相とインドのモディ首相が会談して合意されたオーストラリア-インド間での人の行き来を容易にしましょうという協定の元に創設されました。

オーストラリアがインドに対して欲するもの

インドは今後数十年に渡って日本の高度経済成長や中国のような急激な経済発展が見込まれます。インドは14億人を超える人口の国。国民の平均年齢も30歳以下と若い人材が豊富な国。オーストラリアもインドも英語が公用語、共通言語になっていて言葉の壁もほぼありません。オーストラリアは以下を欲していると思います。

  • 高いIT技術
  • 若くて優秀な人材

また、オーストラリアは移民大国で不法にオーストラリアにやってこようとする人も後を絶ちませんが、インドからも多いのかそういう人たちを排除したい狙いもあるようです。

一方、インドとしてもオーストラリアの優秀な大学、大学院に留学して先進的な技術、知識を学んでインドに持ち帰ってくれたり、あるいは卒業後現地で高い給料をゲットして本国の家族や親せきに送金してくれれば御の字ですし、その稼いだ外貨が国内で消費されることで経済発展することができるわけです。

MATES ビザの取得要件

このビザの有効期限は2年間です。オーストラリア政府としてはこの2年の間に他の就労ビザや永住権などのゲットに繋げてほしいと考えているようです。このビザの取得要件は以下の通りです。

  • ビザ申請時の年齢が30歳以下であること
  • 以前にこのビザを取得していない事
  • 申請時から2年以内に該当の教育機関を卒業していること
  • 以下のいずれかの分野での学位を有していること(学士以上)
    • 再生エネルギー
    • マイニング
    • エンジニア
    • ICT(情報通信技術)
    • AI
    • フィンテック
    • アグリテック

このビザは毎年3,000人に発行されるそうです。就労に関しての規制は特になく企業や州政府などからのスポンサーも必要ありません。上の条件をクリアしていればすぐ申請できます。家族や扶養者も呼び寄せることが出来るので、オーストラリア国内でのインド人比率は益々増えることと思われます。

まだ受け付けは開始されておらず、申請開始は今年の後半以降になるのではないかと予想されています。

日本政府も海外に出て行って積極的に活動すべき

かつて2000年頃まではハワイやゴールドコースト、ケアンズなどに多くの日本人が移住していました。当時、とりわけバブルが崩壊するまでは日本が世界でも1,2位を争う経済大国で物価高の国。オーストラリアでは日本語を第2外国語に設定している高校もたくさんあったと聞きます。

失われた20年、30年によって海外に進出していた多くの日本企業、海外在住日本人は日本に戻り世界で日本人を見ることはほぼなくなり、逆に経済発展し始めた中国や韓国、東南アジアから多くの人達が2000年以降オーストラリアにやって来て存在感を表してきました。そしてここ10年ほどはインドから大量にインド人がやってきている状況です。

最近海外出稼ぎのニュースをきっかけにしてか、海外に出る日本人も増えていると聞きます。海外出稼ぎ以前も海外で働いてみたいと思っていた日本人は少なくなかったはずです。ただ、帰国後の就職などを考えた時に一歩を踏み出せなかった。であるならば、日本政府もODAを始めとするお金の援助だけでなく、日本人が海外で活躍できるような支援をしてほしいです。

海外にワーホリや留学で出て行ったけど、就労ビザや永住権に繋げることが出来ず泣く泣く日本に帰国していったという人もこれまで非常に多くいたと思います。現在も就労ビザや永住権を目指してワーホリや留学生ビザで奮闘している日本人もたくさんいます。

おまけ

オーストラリア統計局(ABS)のデータによると2012年と2022年のオーストラリア国内で生活している移民の国別トップファイブは以下の通りです。

Australia’s Population by Country of Birth, 2022 | Australian Bureau of Statistics (abs.gov.au)

出生国2012年出生国2022年
イギリス 100万人イギリス96万人
ニュージーランド57万人インド75万人
中国41万人中国60万人
インド36万人ニュージーランド59万人
フィリピン21万人フィリピン32万人

上の表からも明らかなとおり、ここ10年でのインド人の急増ぶりはすさまじいです。現在では中国人すらしのぐ数字です。そして今後は更に数を伸ばし、2032年にはイギリスを抜いてトップに躍り出るのではないかと思います。

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