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オーストラリアで永住権を申請する場合にいくつかの方法があります。現在、永住権を取得してオーストラリアに移住されている方は以下のいずれかのパターンだと思います(カッコ内のビザの名称は大まかな名前です)。

  • オーストラリア国籍保持者のパートナーとして(パートナービザ)
  • 仕事で企業からスポンサーしてもらって(雇用主指名ビザ)
  • 自分の資格やスキルが高いことを証明して(技術独立ビザ)
  • 州のスポンサーを得て過疎地域で仕事する(州指名ビザ)
  • オーストラリアに一定の金額を投資する(投資ビザ)

私はビザの専門家ではないのでビザに関するアドバイスはできませんが、この中で日本人に多いのは圧倒的にパートナービザだそうです。

そして、残りは仕事系のビザと投資のビザに大別できると思います。オーストラリアは移民が増えすぎて、現在は制限をかける方向に進んでいます。2000年頃は永住権取得も容易だったと聞いていますが、アジア系の急増によって2010年以降はオーストラリアの永住権の取得は容易でないという認識になってきて、近年はほぼ不可能という声も少なくありません。これはオーストラリアに限らず、ニュージーランドやカナダ、ヨーロッパ諸国も移民大国と呼ばれる国ではどこも移民が増えすぎてしまい、移住を制限する方向に向かって行ってると思います。

オーストラリアの場合、パートナーをゲットできるかは運による部分が大きいですし、投資ビザは一部の金持ちにしかできないので、要はほとんどの人が仕事系の永住権を狙いに行くので競争が熾烈です。そして、雇用主指名の永住権は政府が企業に大きな負担をかけているので、本当に欲しい人材でないとスポンサーしてもらえないので、多くの人にとってチャンスがあるのが技術独立ビザとなります。

技術独立ビザ

技術独立ビザというのは簡単に言うと自分のスキルの高さを証明して、永住権を申請するというものです。これはどんなスキルでも良いというわけではなく、オーストラリアで人材が不足している職業、ニーズがすごく高い職業に限られます。そして、申請する際も例えば「私は会計の学位や資格、職歴がこれだけあるので会計士として永住権を申請します」みたいな感じで職業を選ぶ必要があります。

実際にそれらの証明をするために書類の準備や審査機関へスキルを証明してもらうなど様々な準備や作業が必要になりますが、企業などのスポンサーも要りませんし、投資ビザのように数千万、数億円といった大金も要らず、自分が永住権が欲しいと思ったら自発的に永住権を申請したいという意思表示(EOI)をすることが出来るものです。

ここで意思表示と記しましたが、申請ではありません。では意思表示とは何かというと、要は予選ラウンドのようなものです(ちなみにこの予選ラウンドは年に何回かあります)。上述のように誰もが申請したいと思ったら申請できるとなると、ものすごい数の申請が予想されるので、移民局側からした膨大な量の書類に目を通す必要とそれだけの人を確保しなければならなくなるので、一定の上位優秀者に絞るためにふるいにかけて選別するという意味でEOIという過程を設けています。申請は意思表示をして移民局側からインビテーション(招待状)を受け取った人だけが出来ます。なので、技術独立ビザで永住権を狙う人はここで自分がどれだけ上位に食い込めるかが運命の分かれ道となるので、ものすごく一生懸命になります。

EOI はポイント制

意思表示の事を EOI(Expression of Interest) と言います。このプロセスでは意思表示をする人がどれだけのスキルがあるかということをポイント化して合計で何点になるかを示します。移民局は意思表示をするための最低点を以前は60点としていましたが、昨年65点に上げられ現在も変更はないかと思います(私はこの辺は常に追っていないので現状は専門家にご確認ください)。なので、あなたの得点が65点以上あれば意思表示を行うことが出来、移民局から招待状を待つという形になります(意思表示の仕方は移民局のサイトを確認してください。https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/working-in-australia/skillselect)。

しかし、実際には招待状は一部の人にしか来ません。予選ラウンドといったのはこのためです。では、誰に来るかというと点数の高い人から来ます。じゃあ何点必要なのと言われると職業によって違いますが、近年は急上昇しているようで、95点前後が多いようです(会計士の場合は6月の直近のラウンドは100点が最低点だったそうです)。2,3年前は80点、4,5年前とかで70点くらいだったと思うので、ここ1,2年ものすごく上がっているような印象です。以前は70点あればかなり高得点と言われていて、80点なんて絶対無理というような感じだったので、最初95点とか100点と聞いたとき「あれ、採点方法変わった?」と思ってしまいました。

移民局のサイトでは実際に自分が何点くらいになるかシミュレーションできるページがあります。興味がある方は試してみてください(https://immi.homeaffairs.gov.au/help-support/departmental-forms/online-forms/points-calculator)。なお、あくまでシミュレーションで実際の採点は提出物等によってチェックされて左右される場合もあるかと思いますので、詳細はビザの専門家に確認したほうが良いかと思います。

ちなみにどうやったら100点になるんだろうと思って、そうなるようにやってみたのが下です。

  • 年齢が25-33歳(30点)
  • IELTS 8.0 (20点)
  • オーストラリア国外での就労経験が3-5年(5点)
  • オーストラリア国内での就労経験が1ー3年(5点)
  • オーストラリアの大学卒あるいは国外の同等の教育機関(15点)
  • オーストラリアの大学で一定のコースを修了(5点)
  • オーストラリアの地方の大学を卒業(5点)
  • パートナーも永住権申請に含めていて同等の英語力を有している(10点)
  • Professional Year をコンプリート(5点)

つまり、日本の大学で会計を専攻し、大卒後経理マンとして3年間社会人を日本でやった後、オーストラリアの地方の大学院に留学して会計のマスターを取得し、卒業後 Professional year をやり、オーストラリアでも1年程度経理の勤務経験を得て、その間にIELTS8.0以上のパートナーを見つける、みたいな感じですかね。「どんな奴やねん!」と思いますが、まず、IELTS8.0で大卒、大学院卒とかそれだけでエリートですよね。有名人で言えば英語系 Youtuber の Atsu さんみたいな感じですかね(実際の年齢は存じ上げませんが)。

他の職種でもここまでではないにしても似たような状況だと思います。それだけこの技術独立ビザは門戸が広い分競争も熾烈で、オーストラリアの永住権取得がほぼ不可能と言われる所以はこう言ったところだと思います。現在は中国、韓国、東南アジアを中心にアジア系の人たちが大勢やってきているとか、こちらの大学を卒業しても仕事をなかなかゲットできない人がいるというのは私のブログでも何度も伝えているところです。

私が何度もこのブログで「これまでのように留学して卒業後に現地で就職を狙うより、日本で就労経験を積んでそれを武器に海外就職を狙う方が今後は移住につながりやすくなると思う」と述べているのはこういう理由からです。

逆に企業がスポンサーしてくれれば、雇用主指名ビザの方で永住権が狙えます。企業のスポンサー自体がスキルの証明みたいな役割を果たしてくれるので、雇用主指名なら基本的に提出書類を出してただ承認されるのを待つだけなので、競争とかありません。ブルーオーシャンです。ただし、自分をとことん磨いてスポンサーしてもらえるような人材になる必要がありますが。なお、雇用主指名ビザも申請できる職種が限られていますので、十分下調べして専門家に相談することをお勧めします。

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