以前も投稿しましたが、オーストラリアのスーパーの価格、昨年から本当に値上げが半端ない。最近は5品、6品かごに入れてレジで精算したら$30とか$40近くが珍しくないです。
もちろん何を買うかにもよりますし、小麦類(食パン、パスタなど)は元々オーストラリアは激安なので、同じような率で値上げされていても金額にしたら大したことはありませんが(なので私も最近はパスタやパンを食べる比率が上がっています)、それ以外のものは大抵どんなに安くても1品辺り$5前後はしますし、肉類は高すぎて久しく手を出せていません。かたまりなら牛、豚、鶏、羊問わず、部位を問わず、一番小さいトレイに入っているものでも最近は$10近くします。ひき肉だけは需要があまりないのか良心的な値段で唯一購入できますが。トイレットペーパーなど「オイルショックか?」というくらい日本では考えられない金額です。
オーストラリアで暮らしているローカルの人、移民、留学生やワーホリの人など本当に現在は生活が苦しいと感じています。とりわけ、家賃は最近はシェアルームでも$300越えというのが珍しくないようですし(以前なら$100台、シドニーでも$200台が相場でしたが)。シェアルームでなく自分で1室借りて住もうとなれば安くても月$2,000はします。シドニーやブリズベン・ゴールドコースト辺りだと月$3,000近くするのも珍しくないと聞きます。
もし、住宅をローンで購入してたら昨年からの度重なる金利引き上げで返済に苦しんでいる人も多くいると聞きます。昨年は賃貸物件の家賃が30%引き上げられたとか週で$100、$200引き上げられたなんて話も私の周りでも聞きました。
先日投稿した移民政策の大改革はコロナ後の移民の大量流入で必要以上に高騰してしまった不動産価格を抑えるという意味もあります。
連邦政府による大手スーパーへの聞き取り調査
そんな中、オーストラリア政府が大手スーパー4社への聞き取り調査を行うと表明しました。発端は畜産、酪農、農家などの食品の生産者が自分たちがスーパーに卸している価格と消費者に向けて陳列されている商品の価格があまりにも違い過ぎると訴えていることです。ある羊の生産者は「自分たちがキロ当たり$4で卸しているものがスーパーの棚ではキロ当たり(部位によって)$42とか$28で売られていてる。自分たちは値下げを要求されて部位によって60%以上とか40%以上値下げして出したのにスーパーで販売されている価格はそのように大きく下がっているようには感じられない」と不満を訴えています。
別の生産者も同様に「スーパーで陳列されているかぼちゃが$20もしているが、私たちは$1.50ももらっていない。種まきから収穫までの重労働を全てこっちでやっているのに」。「これは私たちだけの話ではなく、多くの生産者が同じような状況で値下げを強要され、それではビジネスを回していけないので銀行からの借金を増やしている状況」。
対象になった大手スーパーはインフレによるサプライチェーンコスト、人件費その他費用の増加などが原因で不当に利益を乗せているわけではないと述べていますが、大手スーパーの財務報告書を見ると近年、利益の上昇が大きいという声もあります。
ということで、例として2社の公表されている財務報告書を見てみると、
C社 | W社 | |
グループ総売上高 | 約415億ドル | 約643億ドル |
グループ純利益 | 約11億ドル(利益率2.65%) | 約16億ドル(利益率2.49%) |
上の数字だけを見ると純利益の利益率は一般的に言われているスーパーの利益率のように思えます。両社ともスーパー部門の売り上は前年に対して約6%上昇していますが、その要因としてプロモーションや顧客ターゲットの戦略がうまく行ったこととしています(商品の価格上昇とは説明されていません)。コストの上昇についてはインフレの影響や金利引き上げなどが主な要因で、商品の仕入れ価格も高騰していると説明されているので、この辺が生産者が言っていることと矛盾を感じますし、多くの商品で生産者や仕入れ先に値下げを強く要請している場合、財務報告書の説明が合わなくなってきます。政府が介入して調査したいのはこの辺の部分だと思われます。
実際に調査をするためにはオーストラリアの公正取引委員会(ACCC)の許可が必要だそうで、政府はACCCと協議しています。スーパーで扱う商品は品目数も多いので最終的な調査の結果が出るのに半年近くかかるのではないかと報道されています。
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