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前回の続きです。前回は全豪オープンテニスの概要について述べました。大まかに知りたい方はそちらもご一読ください。

今回は観戦した試合です。購入したチケットは女子シングルス準決勝。本当は男子シングルス決勝とか女子シングルス決勝のチケットを買いたかったのですが、値段が。。。男子決勝は一番上のコートから遠い席でも$1,300近くするし、下のコートに近い席なら$3,000越えです。女子決勝はそこまで行かずともやはり高いことに違いはなく、何とか手に届きそうだったのが女子シングルスの準決勝でした。

試合は夜7:30からでしたが、会場へは3時から入れるということで4時前に会場に到着。目的の試合まではまだ時間があるので、それまで会場内を散策したり、お土産屋さんを覗いたり、進行中の他の試合(車いす部門や男子、女子ジュニアなど)を見て時間をつぶしました。ジュニアや車いす部門は日本人選手も上位に食い込んでいるようでした。日本のテニス界、将来が楽しみです。

入り口では手荷物検査。でも、。。。

会場へ入る際には荷物チェックが行われます。200mm を超える望遠レンズ付きのカメラやビデオカメラを始めとする動画用レコーディング機器はダメと言うルールを事前にチェックしていましたが、実際には Youtube に動画を投稿している人も何人かいるので、GoPro を念のため持参。

係員1「はい、荷物をチェックします。カバンを広げて中身を見せてください」

係員1「これは何ですか?」、「カメラ?カメラはOKだっけ?」

係員2「200mm 以下のレンズまではOKです」

係員1「じゃあ、これはOKだね」、「こっちのものは何ですか?」「GoPro は確かOKだったよね?」

係員2、3「GoProはダメです。」

ということで、困ってしまいました。

私「え、じゃあこれどうすれば良いんですか?預かってもらえるんですか?」

係員1「えっ、どうしろってこちらでは預かれませんよ」

私「でも、そうじゃないと困ってしまうんですけど。捨てろってことですか?」

係員1「GoProはダメです。カバンに入れて持ち込めません」

私「じゃあ、どうすれば。。。」

係員1「カバンに入れて持ち込むことはできません(ゴホン、ゴホン)。」

私「!?。じゃあ、これで良いですか?」

係員1「はい、カバンには何も入っていませんね。どうぞお進みください。」

係員2、3の人もそれ以外の係員の人達もこのやり取りを見てたので、皆さん素晴らしい方たちです。笑

ただ、結局 GoPro は使いませんでした。GoProにはコートまで遠すぎるように思えたのと、そもそも動画を撮ってはいけないというルールもあるし、試合中はテレビカメラもたくさん試合会場に入っていて試合だけでなく観客の様子なども撮ってたりするので、GoProで撮影してたらすぐばれるような気もして、気が引けました。

特にGoProは撮影開始時と終了時に「ピピッ」とか「ピピピッ」と結構大きい音が鳴ってしまうので周辺の人はすぐ気づきますし、サーブを打つとき(皆静粛にしている)にでも鳴らしたら大ヒンシュクで会場の雰囲気をぶち壊してテレビカメラも私の方へ向けるような気もしたので。

また、日本人なら多くの人がカメラを持参して試合中も写真や動画を撮ったりすると思いますが、こちらの人は純粋に観戦を楽しんでいて、カメラなどで試合を撮っている人はほとんどいませんでした。そんな中で私だけカメラを構えているというのは浮くような気もしました(実際には構えていましたが)。

Rybakina(リバキナ) vs Azarenka(アザレンカ)戦

若手注目株 vs かつて世界ランキング1位のベテラン

リバキナ選手はカザフスタン(ランキング22位)、アザレンカ選手はベラルーシ(ランキング24位)と実力は拮抗しています。リバキナ選手は23歳と若手ですが昨年のウィンブルドンを制し勢いに乗る若手注目株の一人。

一方、アザレンカ選手は33歳のベテランで2012年、2013年の全豪オープンテニスの優勝者。2012年の全豪オープンでは決勝であのマリア・シャラポワを倒して世界ランキング1位になったこともある選手ですが、ランキングや年齢を考えると選手としてのピークは過ぎているのかもしれません。

アザレンカ選手

人物像も対照的?

人物像や見た目も対照的で、アザレンカ選手は試合中にガッツポーズやラケットを投げるようなしぐさを見せて男子並みの感情を表に出したり、記者会見ではロングのソバージュをなびかせてサングラスをしながら低い声ではっきりものをいうタイプのような感じです。ベテラン選手でもあるのでそれらと相まって貫禄があります。記者会見では現在のロシア情勢(ベラルーシはロシアをサポートする側に回って世界から批判を浴びている)が大会に臨むにあたって精神的にあるいは何らかの形で影響しているかと言う質問をされ、露骨に嫌な表情で「あなたは私に何て答えてもらいたいの?それって私が何かすれば影響を与えられるとでも思っているの?私が何者かわかってるでしょ?私はテニス選手以外の何物でもないんだから政治に影響を与えられわけがないでしょ?だいたい、私がここで何て答えても後であなたたちが書きたいようにどうにでも書いて記事にできるでしょ?だから、答えない」と言う感じでした。言ってることは非常に正論ですし、試合後にこういう質問をする記者が明らかに悪いですが。

リバキナ選手

一方、リバキナ選手は元々はロシア出身ですが、カザフスタンからテニスの才能を見込まれて経済的支援を受ける代わりにカザフスタンの選手としてプレーするよう帰化したそうです。試合中はほとんど感情を出さず黙々とプレーする感じで、たまに良いプレーが決まると小さくガッツポーズをするくらいです。一方、インタビューや記者会見では常に笑顔でニコニコタイプ。コート上でのインタビューも、記者会見でも常にニコニコしながら嫌な顔を見せることもなく丁寧に質問に答えて優等生的な感じです。そして、典型的なロシア美女!「私、副業でモデルもやっています」と言われてもそうだろうなと思ってしまうくらいです。ちなみにググってみましたがそういう情報はなかったので、多分やってないと思います。笑

準決勝にふさわしいアリーナ

さて、試合開始は19:30、私が会場に入ったのは19:00頃だったと思いますが、会場の雰囲気は下の写真の通りで、試合前に気分を高めてくれます。こちらでは地上波でも試合が放映されていて、前日などの試合では晴れの日は屋根が開いていた、天気が良かったこの日も開いていると思ってたので、この雰囲気にびっくりしました。

テレビカメラもたくさん、マスコミの人達もコートの端を陣取ってベストショットを収めるべく馬鹿でかい望遠レンズをセットして待機。

時間が近づくにつれ、Musical の Juliet によるショーや Original Nine (最初の9人)の方々の紹介がありました。Original Nine とは1970年代に初めて女子テニスプレーヤーでプロ契約をした9人の事だそうで、当時は男子テニスはプロ契約をしている選手がいてテニスで食べていくことが出来たのに対し、女子テニス選手はまだまだ男尊女卑が強いテニス界において、待遇が冷遇されていたことに反旗してプロ契約を勝ち取ってWTAツアーが開始されることになった立役者が9人の選手だったそうです。現代の女子テニスプレーヤーがあるのは Original Nine のおかげとして、こちらでは伝説の人として非常にリスペクトされているようです。

Juliet
Original Nine

そして国歌斉唱。女子決勝は大人の歌手が歌っていましたが、準決勝は子供に歌わせるという心の大きさ。きっと生涯忘れることのできない記憶となるでしょう。

そして、選手入場前のライトショー。会場のボルテージは一気に高まりました。

そして試合開始前の一連のイベントが終わると屋根が開き始めました。屋根が閉まっている時は熱気で少し暑く感じましたが、一気に外から冷えた空気が入ってきて観戦には最高の気温です。空も雲一つない様子で、陽が落ちろ頃には夕焼けがきれいに映りました。

そして、アザレンカ選手、リバキナ選手の順で選手入場

アザレンカ選手
リバキナ選手

カメラ総動員。コート上だけでな空中をワイヤーで吊るされているカメラはドローンのように自由自在にポジショニングをできるようになっている感じです。カメラの角度も真下、正面、左右など好きなように回転し、どの場所からでもどの方向にでも撮影できるようになっています。発明した人、すごいです。

お互いにラケットを取り出し、コート中央へ。リバキナ選手は子供と軽く話をした後、ジャンプしてウォーミングアップ。アザレンカ選手は素振りをしてウォーミングアップです。そして、試合開始前の軽いラリー。

白熱した試合展開

3回戦(ベスト16)では今大会女子シングルスの最有力候補であったシフィオンテク選手(ランキング1位)を破り、準々決勝(ベスト8)までは順当に危なげなく勝ってきたリバキナ選手ですが、この日はサーブもなかなか決まらず、アザレンカ選手の左右に打ち分けるうまいリターンに翻弄され、第一セットは6-6までもつれ込むことに。最後は何とか逃げ切って第一セットを取ると第二セットは徐々に自分の力を発揮し6-3で制し、決勝にコマを勧めました。残念ながら決勝ではサバレンカ選手(ランキング5位)に敗れてしまいました。インタビューでは「この試合が私にとって今大会初の夜の試合で、昼と違って球もスピードが出ず重くて慣れるまで時間がかかり、アザレンカ選手も非常に上手い選手なので苦戦した」とコメントしています。

この試合が終わったのが9:30pm 頃。準決勝第2試合も観たかったのですが、次の日の仕事が忙しく、接戦になると帰りが深夜1時過ぎになることが見込まれたので、見ずに帰りました。第一試合を見れただけでも満足ですし、その前に見たジュニア部門の日本人女子ダブルス、石井選手・小池選手の試合や車いす部門の女子ダブルス、田中選手・モンジェーヌ選手、上地選手・ジェンジェン選手の試合も素晴らしかったです。特に車いすのテニスというのは見たことなかったのですが、実際に席について試合を観戦していると面白くて最後まで見てしまいました。上地選手・ジェンジェン選手は残念ながら決勝で敗れてしまいましたが、日本勢が活躍しているジュニア、車いす部門も見る価値ありです。

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