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西オーストラリア州の州知事は、これまで予定していた2月5日の州境再開の予定を白紙に戻しました。理由はオミクロン株の猛威によってこれまでと全く違う状況になったからということです。

オーストラリアの中でも最も保守的で強硬派な州知事

西オーストラリア州の知事はオーストラリアの中でも最も保守的で強硬派の州知事として知られています。スコットモリソン首相が各州知事に昨年のクリスマス前に州境を開くようにと指示した時、WA州を含めていくつかの州知事が最初反対していましたが、最終的にはWA州以外の州はクリスマス前までに州境を再開させる中、WA州だけは唯一「うちはワクチン接種率(2回接種)が90%に到達するまで再開しない。WA州はコロナを完全に抑え込んでいるのに何故感染者が広がっている他の地域から人々を受け入れて州民を感染させる必要があるんだ」と断固反対していました。

しかし、同時に「コロナがなくなるまで開かないという意味ではなく、州民の安全が保障できるようになった時に再開させる」とも述べ、ワクチン接種率90%をその条件とし、90%に到達するのが 2/5 と見込まれていました。

「オミクロン株が世界を変えた」

白紙に戻したことについて、州知事の説明では、

  1. 2/5の再開のプランはデルタ株が猛威を振るっている11月に計画したもの
  2. 当時はワクチンを2回接種することで感染を防ぐ高い有効性が確認され、ワクチン接種率(2回接種)が90%になれば、州境を再開しても州民の安全は確保できると考えられていた
  3. しかし、12月のオミクロン株の出現で、世界が全く変わってしまった。
  4. 一番の懸念はデルタ株以上の感染力であっという間に市中感染し、感染者が各地で短期間に急増しているということ。また、ワクチン2回接種でも感染する可能性が高いことが明らかになった(4%の有効性)
  5. オミクロン株についてはまだ専門家の間でも完全に解明されておらず、人々にどういう症状を引き起こすか、感染者が急増した後どうなるかなどわかっておらず、コロナ対策に関する正しい判断を行うにはデータが十分でない状況。
  6. 他の州では州境を再開させ、感染者が急増したことで医療逼迫が起きている。入院者数はオミクロン株前と比べると9倍に増えている。オーストラリアは今年に入ってこれまでの19日間だけで664名もの死者数を記録している。
  7. 現段階でわかっていることは3回目の接種がオミクロン株に対して有効で(64%の有効性)、我々を感染から守ってくれるということ
  8. このまま11月に計画された2/5の州境再開の計画を実行することは州政府としての(州民を守る)責任を果たしてないと思うし、オーストラリア大陸の東側の現状を見た時にそんな向こう見ずなことはできない。
  9. 大陸の東側では今後数週間で感染者はピークに達すると考えられ、その後、下降局面に入った段階でオミクロン株に関することがもっとわかるようになると思われ、それを見てWA州がどういう対策、ステップを踏むべきか考えることが出来るようになると思われる。
  10. WA州はこれまで新型コロナウィルスを完全に抑え込んできており、経済は成長を続けていて失業率もここ13年で最低、オーストラリアの中でも最も低い失業率を維持している。州境を再開させオミクロン株が蔓延すれば、東側のように感染者急増で医療逼迫が起き、働けなくなる人が急増し、経済の好循環がストップする可能性がある。
  11. 現在、3回接種済みのワクチン接種率は25.8%。ワクチン1回接種、2回接種の高い接種率を見れば、3回接種の接種率も同様に高い近い数値に持っていくことが出来ると信じている。
  12. 専門家とも協議を重ね、2/5より新たな州境再開に向けてのロードマップを導入することとした。州境は2/5以降も当面閉じたままとする(ただし、免除既定の数を増やすこととする)。州境の再開時期については来月中のオミクロン株の状況を鑑みて検討するものとする。

州境再開は当面なし

今回の記者会見では「来月中のオミクロン株の状況を鑑みて」、州境再開の時期を検討すると述べるに留めています。今年前半は恐らく開かないのではないでしょうか(個人的予測)?

現状のVIC州は感染者数の上昇が和らいできたとも伝えられています。世界のオミクロン株の状況もデルタ株と比べて短期間で急増し、短期間でピークアウト、減少するとも伝えられているので、VIC州やNSW州は早くて来月、遅くても3月ごろにピークを迎えて4月、5月頃にオミクロン株も問題にならなくなるのではないかと予想されます。そう考えると、WA州の再開は6月頃でも不思議ではありません。

ファイザーを始め大手製薬会社は経口薬の開発を急いでいる

おととし、昨年はワクチンが有効な対策とされていましたが、今年は薬の開発が期待されていると思います。ファイザーが3月頃を見込んでいて、他社も追随すると思われ、専門家によってはオミクロンが最後の感染力の高い変異株でその後は新型コロナウィルスは風邪と同じような扱いになると予想されています。

本当にそうなってほしいものです。

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