オーストラリアはニュージーランドと同様に世界的に見ても感染者数の抑え込みに成功している国の1つです。下の表は政府公表の数字ですが、
- 過去24時間以内の市中での新規感染者数はゼロ
- 過去7日間以内の市中での新規感染者数は1
- 過去24時間以内の海外からの帰国者の陽性反応者数は21
- 過去7日間以内の海外からの帰国者の陽性反応者数は99
- 現在の陽性反応者数は154
- 現在入院中の患者数は43
- これまでの累計での陽性反応者数は29,505
- これまでの累計での死亡者数は910
となっています。
一方、日本の政府公表の数字は以下の通りです。
詳細は上の通りなので説明しませんが、オーストラリアと比べると桁違いの数値だと思います。
オーストラリアのコロナの現状
オーストラリアの現状は上の数値が示す通り、新規感染者数はほぼ完全に抑え込まれた感じです。実際に町中を歩いてみても、マスクを積極的にしている人は少ないです。規制に関しても現在はほとんどありません。ただし、公共交通機関等は今でもマスクの着用を必須としてますし、お店によっても自主的にお客さんにマスク着用を義務付けているところも少ないながらもあるので、普段町中ではマスクをしないまでも携帯している人はまだまだいます。
小売店やレストランなどを見ても客の入りはコロナ以前に近いような感じになっているのではないかと思います。どこも、平常のように賑わっているように見受けられます(ただ、実際の売り上げなどは完全にはコロナ以前のレベルには戻ってないのかもしれませんが)。
オーストラリアは新規感染者を抑え込むことを最重要視
どこの国の政府も新規感染者を抑え込むことと経済を回すことの板挟み状態にあると思います。日本は昨年の前半は新規感染者も少なく抑え込みに成功している国の1つに上げられていたと思いますが、現在、数値が急増しているのを見ると経済を回すことを優先しているのかなと思われます。
一方、オーストラリアは新規感染者数の抑え込みを最優先としている国だと思います。これは昨年3月頃から一貫していて、経済を回すことに関しては雇用助成調整金や政府からの各種補助金、援助金などで対応するという形を取っています。ただし、オーストラリア政府は今月からJobkeeper という日本の雇用調整助成金のような援助金を3月一杯で終了させてしまったので、今後それがどのように経済に影響していくか見守っている状況です。とりわけ、コロナの影響をもろにうけた航空業界やホスピタリティ業界は未だに業績が芳しくなく雇用調整助成金によってかろうじて生き延びている状況で、業界団体は政府に対して継続を猛プッシュしていましたが、政府はこれを受け入れませんでした。
また、新規感染者を抑え込むことを最優先しているため、新規の市中感染者が出始めるとロックダウンに入りやすいという側面もあります。例えばシドニーがあるNSW州では昨年12月に新規感染者数が20名近くにまで増えた段階でその地域と周辺エリアをロックダウンしました。この数値でロックダウンというのは日本では考えられないかもしれませんが、これはオーストラリアでは比較的緩い措置です。
オーストラリアは州政府レベルでルールが決められるので、例えばメルボルンがあるVIC州やシドニーを有するNSW州は大都市を抱えているので他州と比べてなるべく経済を回したい、規制を厳しくして経済に悪影響を与えたくないと思っている州です。
一方、ケアンズやゴールドコーストを有するQLD州やパースがあるWA州、タスマニア島のTAS州などは保守的で、中でもWA州の州知事は超保守的な政策で注目を浴び続けていて、今年2月には新規感染者数が1名出ただけで5日間のロックダウンを行い、WA州の州民だけでなくオーストラリア全土を驚かせました。
国境再開に向けて
オーストラリア政府はニュージーランド政府と協議して、2国間の国境再開を決めました。21/4/19より2国間の旅行に関しては入国後の14日間の隔離は不要とされます。昨年6月、ロックダウン後に新規感染をほぼ抑え込み一旦出かかった話ですが、7月にメルボルンでの第2波の発生によって話が消失して以来、航空業界やホスピタリティ業界にとっては待ちに待った決定だと思います。ニュースによると飛行機の予約はあっという間に埋まってしまったそうで、旅行に行きたくてたまらないオージーやキウィによる両国間でのトラベルバブルが期待されています。
オーストラリアのワクチンの状況
オーストラリアはファイザー製ワクチンやアストラゼネカ製のワクチンの確保に成功し、現在は医療従事者や隔離ホテル勤務者など優先度の高い人たちが接種を受けています。ただ、EUの輸出規制の煽りを受けて入荷が大幅に遅れているため、一般の人の接種がいつになるかめどが立っていません。また、オーストラリア政府はアストラゼネカ製のワクチンを血栓症を引き起こす可能性があるワクチンとして、50歳以下はファイザー製ワクチンを接種することを推奨する声明を発表しました。これも接種時期に影響するのではないかと思われ、一般の人の年内の接種は難しいのではと推測しているメディアもあります。
Comment
No trackbacks yet.
No comments yet.