現在、世界でもっともコロナの封じ込めに成功しているであろうニュージーランドが新型コロナをゼロに抑え込むことを断念しました。
New Zealand admits it can no longer get rid of coronavirus (msn.com)
昨日の新規感染者が29名(累計で1,300名超)だったそうで、この数字を聞いただけでも「めちゃ抑え込んでるじゃん」と思われると思いますが、「最初のデルタ株が確認されてこれまで7週間のロックダウン。未だにゼロに抑え込むことができず、今後も抑え込める見通しが立たない。このまま続けても抑え込めないならロックダウンを解除して経済を回す方が賢明」と方針を変更することにしたそうです。オーストラリアに続きニュージーランドもコロナとの共存を選ぶことになりました。
オーストラリアも今年の5月まではニュージーランドとともにコロナをほぼ抑え込んでいた優等生。ニュージーランドは昨年3月の最初のロックダウン以後はほぼゼロで完全にシャッタアウトしていて超優等生。7週間前まではコロナと無縁の生活がずっと保たれていたと言われていました。
そのニュージーランドもデルタ株には勝てなかったことになります。最初の1件目の新規感染者がニュージーランドの最大都市オークランドで確認され、その数時間後にはニュージーランド全土でロックダウンに踏み切ったにも関わらず、最終的には白旗を上げざるを得ないほどデルタ株の威力は凄まじいということだと思います。
ただ、ニュージーランドのジャシンダ首相は「現在は最初のデルタ株の感染者が出た時とは違い、十分なワクチンが確保できている。あの時は十分な数量のワクチンが確保できていなかったから早急なロックダウンに踏み切らざるを得なかったが、今はワクチンがあるのでコロナとの共存という選択をできるようになったということだ」と説明しています。
何故新型コロナウィルスを抑え込めないのか?
オーストラリアは今年の5月頃までは新規感染者を1ケタ台に抑え込み続けてきましたが、デルタ株の流入で6月以降一気にシドニーとメルボルンで拡大。VIC州の昨日の新規感染者が1,377名、NSW州が623名。昨日の東京の新規感染者数が80名だそうで、5月頃まではずっとこれが真逆だったわけですから、たった、2,3か月で状況が一転し(game changer)、この逆転劇はただただ驚くばかりです。
私は日本人なので、日本人の事を理解していますし、現在オーストラリアに住んでいてこちらの白人やオーストラリアに移住してきた移民と共に生活していますので、両方を比べられますが、大きな違いが両者で見られると思います。
日本人はマスク装着に慣れているが、外国人はこれが苦手でたまらない
日本ではとりわけインフルエンザが流行する冬の時期は当然のようにマスクを装着している人が大勢います。誰に強制されたわけでもなくエチケットのような感じでマスクをしない人の方が失礼に思われても不思議でないくらいの徹底ぶりです。また、冬以外でも風邪をひいていたり、花粉の時期もそうですね。外国人が日本に観光でやってきて驚くことの一つに町中で大勢の人が同じようにマスクをしているということです。とくに平日の新宿とかであれば、みな紺や黒の同じようなスーツを着て同じようなマスク、メガネをして歩いていて、それがまるで同じ顔をしたロボットが大勢町中を歩いているようなイメージと重なる、と感じる人もいるとか。海外でマスクをするという場合、今回の新型コロナのような特殊な事情のケースに限られます。なので、マスクをしている人を大勢見かけると何か異臭騒ぎとかウィルスが蔓延しているのかとか不安になったりするそうですし、風邪やインフルエンザ程度でマスクをすることに違和感がありすぎて、理解に苦しむのが外国人です。
また、マスクをした時に顔を覆われる感覚や息苦しさ、マスクをしてる部分だけ汗をかく感じがとにかく不快、嫌と感じる人が多いのもあると思います。なので、ロックダウン中で外出時はマスク必着とかまで厳しくならないとしない人がほとんどです。
また、まだマスク必着の状態でも新規感染者数が落ち着きだし、規制が少し緩和され始めたりすると急にマスクしない率が増え始めますし、こちらではジョギングやサイクリング時はマスクをしなくても良いとされているので、そういう人たちはまずマスクをしません。また、こちらではカフェなどでテイクアウト用のコーヒーを買って歩きながら飲むというのはコロナ以前から自然な光景ですが、その時だけはマスクを外しても許されると思ってるからか、印籠のようにコーヒーを片手に持って「ワタシ今コーヒーを飲んでるの。見ればわかるでしょ。だからマスクは今できないの」という感じで堂々とマスクをしないで歩いている人も多く見かけます(笑)。
人とのつながりが異常に大切、常に誰かと一緒にいることが当たり前な国
初期の新型コロナは感染力はあまりなかったので、ソーシャルディスタンスを守り飛沫にさえ気を付けていれば感染は防げたと思いますが、デルタ株の出現はまさしくゲームチェンジャーでそれまでの対策では感染を防ぐことが非常に難しくなりました。なんせ傍にいるだけで感染する確率が高いわけです。
オーストラリアやニュージーランドは日本のように娯楽産業が発達しておらず、唯一の気分転換は家族や友人などとカフェでくっちゃべったり、自宅に人を招いてパーティーをしたり、公園でピクニックやバーベキュー、また夏ならビーチへ出向いてはしゃいだりしてストレス発散するのが基本です(日本でなら居酒屋で気心の知れた人達と飲んでストレス発散というのと同じだと思います)。もちろん何か趣味を持っている人ならばそれに興じるのもあります、釣りや写真、一人でやるものもあると思いますし、仲間がいれば仲間と一緒に郊外に出るということもあります。
そして、学校休みになれば家族全員で旅行というのはこちらではごく当たり前のことです。日本では小さい頃は家族で旅行することはあっても、中学、高校、大学へと進むにつれて家族で出かけたり、旅行に行ったりする機会はなくなっていく家庭が多いのではないかと思いますが、こちらでは家族の絆はものすごく強く、大きくなって自立してからでも常に実家を訪れたり電話で連絡し合うなど家族は一番の優先事項です。
学校や会社などで「週末どうだった」と聞かれれば「○○とxxして過ごした」などという返答が返ってくるものと思っているのがこっちの人たち。「家でひとりでのんびり過ごしてた」などと言えば「そ、そうなんだ。。。まあ、そういうのもたまには良いよね」という感じの返答が返ってきそうなのがオーストラリアやニュージーランドだと思います。
日本では昭和の頃ならまだしも平成に入ってからは一人で週末を過ごす人も少なくないと思いますし、吉野家やラーメン屋、カフェなどに一人で入っていくのも今は珍しくない光景ですが、こちらでは令和の今でも飲食店に一人で入っていくというのはなかなか見かけない光景ですし、ものすごく勇気がいると思います。日本でも「一人カラオケはまだハードルが高くてできない」とか会話で言ったりすると思いますが、それと同じ感じです。
なので、政府が「コロナなので友人宅を訪れてはいけません。友人を自宅に招待しないでください。基本はステイホームです」といっても、ルールを破る人もいますし、判明してないものまで含めれば結構あるのではないかと思います。これが感染経路不明なケースとなって新規感染者数が増えている理由ではないかと推測します。
日頃から外から帰ってきたら、手洗い、うがいをするよう教育されているのは日本人だけ?
日本で生まれ育っていれば「外から帰ってきたら手洗い、うがいを必ずしましょう!」というのは小学校の頃から言われ続けていると思いますし、とりわけインフルエンザや風邪が流行する時期は口酸っぱく言われて習慣になっている人も多いと思います。私はオーストラリアの学校を経験していないので、オーストラリアの教育が日本と比べてどうということができませんが、こういうのをよく耳にするようになったのは新型コロナウィルスが発生してからです(インフルエンザの時期に病院や会社の人事などがインフルエンザ対策でドアや壁などに張り紙を張っているのをたまに見るくらい)。店に入る時に消毒液をプッシュして手を消毒するというのは当たり前になりましたが、それでもしないでそのまま素通りで入店していく人も未だに見かけますし、「やってられるかこんなの」という感じではなく、悪気なくそこにある消毒液が目に留まらないかのような感じで素通りしていきます。まるでそういう習慣がないかのような感じです。
以上、かなり私の主観や偏見を含んだ見方も含まれていますが、全くのでたらめでもないと思います。もちろん「私もオーストラリア(ニュージーランド)に住んでいるけど、そんなことはない」という方もいるかもしれません。
Comment
No trackbacks yet.
No comments yet.