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英国の経済紙エコノミストが発表した世界で最も住みやすい都市2024年版。

1位から3位は

  • ウィーン(オーストリア)
  • コペンハーゲン(デンマーク)
  • チューリッヒ(スイス)

と欧州の都市が独占しましたが、

  • メルボルン(豪州)-4位
  • シドニー(豪州)-7位
  • 大阪(日本)-9位
  • 東京(日本)-14位

とオーストラリア、日本勢も健闘。アジアパシフィック地域の都市に限定すると、上述の都市に加えて

  • オークランド(NZ)-9位
  • アデレード(豪州)-11位
  • パース(豪州)-15位
  • ブリスベン(豪州)-16位
  • ウェリントン(NZ)-20位
  • シンガポール-26位

と、オーストラリア・ニュージーランドが圧倒的に強い結果となっています。

オーストラリアは本当に暮らしやすい国か?

先日、職場でこんな話がありました。

「最近は本当に暮らしにくい社会、世の中になっている」

これは昨今のオーストラリア国内でのインフレや金利の度重なる引き上げの話だけではありません。では何かというと実は日本と同じような悩みをオーストラリア人も感じているようです。

思ったことをなかなか口に出せない世の中に

日本でも最近は何かと「○○ハラ(スメント)」と呼ばれると思いますが、実は日本に限った話ではありません。オーストラリア人も「昔はジョークと取ってみんなで笑ってたけど、最近はすぐセクハラとか○○ハラとか人種差別にされてしまうのでうかつに冗談も言えない」と嘆いています。ネットの中傷や誹謗なども同様ですし、上司が部下に対して接するときなども言葉遣い、言い回しなどにいちいち気を配らないといけない世の中、そういう自分に疲れるオージーも少なくないようです。

子供を一人にさせられない、子供たちだけで外で遊ばせられない社会

オーストラリアは子供を一人で留守番させたり、子供たちだけで遊ばせる・学校に行かせるという日本ではごく普通に見られる、行われる事が出来ません(アメリカも同じような感じだったと思います)。基本的に学校へは親が送り迎えをします。共働きが当たり前のオーストラリアでは、両親のどちらかが会社へ行く前に子供を学校へ送り、帰宅時には親が迎えに行くのが一般的です(働いている場合は会社を早退して子供を寝かしつけた後、残りの仕事をする人が多いです)。また、アメリカのようにスクールバスを設けている地区もあります。

そして子供たちだけで外で遊ぶというのもオーストラリアではできません。

つまり、1日の多い時間を親が傍に付き添っているわけです。そしてこのためか親離れがいつまで経っても出来ない子供になってしまうということも(子供によっては)あるようです。また、外で子供達だけで遊ばせられず子供は家で一人で Youtube 等ばかり見ている状態になってしまい、人間関係を上手に形成するのが苦手なまま成長してしまう場合もあるようです。

度重なる金利の引き上げによるインフレと住宅不足による家賃急騰問題

こういったことに加えて最近のインフレや家賃急騰問題によって生活が苦しくなっていると感じているオージーは非常に多いです。子供が2、3人いれば一週間当たりの食費・食材費は200ドル~300ドルほどかかったり、住居費もメルボルンなら月20万円、シドニーなら月30万円は下らないような感じになって来てますし、親が働いている間にケアラー(carer, child care worker)などに子供の面倒を頼めば週当たりやはり$200ほどかかったりするそうです。そんな感じでどんどん出費がかさむオーストラリア。

「昔はこんな社会ではなかった」。これはまさにアメリカで起きているような出来事ではないでしょうか?オーストラリアの中央銀行は昨年、アメリカの中央銀行に倣って毎月のように何度も金利を上げましたし、アメリカほどでないにしろ同様のインフレも発生しています。かつてはイギリスとのつながりが強かったオーストラリアですが、ここ20~30年はアメリカの影響もかなり受けているように感じられます。

オーストラリアが金利を下げるのはアメリカが金利を下げ始めたら?

留学生やワーホリの人達が生活が苦しい様子を Youtube で伝えていたりしますが、現地のオージーも多くの人が生活が苦しくなっていると感じています。最近のビザの政策変更により学生ビザの取得が以前よりかなり困難になったと聞きます。そのせいもあってか、メルボルンは賃貸物件に空きが出始め、家賃が下がり始めていると言われています。一方、シドニーやパース、ブリズベンなどはまだ高止まりのままですが、時間の経過とともに少しづつ下がってくるのではないかと思われます。

金利に関しては当面据え置きが続くことが見込まれます。アメリカが据え置きを続けていてオーストラリアもそれに倣っているのではないかと思われます。アメリカは景気の過熱ぶりが衰えない様ですが、オーストラリアは景気に陰りが見え始めてきており、専門家の見解は不景気になる、ならないが半々くらいの感じになっているようです。私個人的には金利が高止まりの状態が続くようだと年内あるいは年明け以降に不景気に突入するのではないかと思います。

オーストラリアも中間層が貧困層の仲間入りに?

アメリカはかつての白人中間層が以前ほど稼げなくなり、トランプ支持派も多くいると見られています。今年の大統領選挙でもトランプ勝利の見方が多いと思われます。オーストラリアもアジア系移民の流入の急増に伴い同じような現象が見られるかもしれません。そうすると、オーストラリアでも保護主義やオーストラリア版トランプのような人が出てきて、表面的には否定していても実際に投票するのはなんてことがあり得るかもしれません。

本当に住みやすい都市とは?

上の考えはちょっと極端と思われる方もいるかもしれませんが、あながちあり得ない話ではないと個人的には思っています。実際にコロナ以前はトランプ大統領の出現によってオーストラリアやニュージーランドも自国主義を唱えて移民を制限すべきと唱える人が出始めていました。今、コロナからの脱却によって正常化が進み、今年のアメリカ大統領選でトランプ氏が再び大統領に返り咲くと、自国主義も再び現実味が帯びてきてもおかしくないと思います。

最近の移民政策の変更で学生ビザがおりにくくなったとかいうのも数年後に考えた時にこれが自国主義の序章だったと思うかもしれません。私自身日々の生活では日本人との接点はなく周りはローカルの人が多い中で暮らしていても、やはり収入が低い白人の人達の不満は年々高まってきているように感じます。

かつては欧米やオーストラリアと言った西洋圏がインフラも整備され、質の高い教育機関も多く留学先としても人気で、美しい街並みや自然などでも魅了してきたと思いますが、近年は日本に限らず他のアジアの大都市圏もそんなに遜色なくなってきていると思います。現時点ではまだ先進国に及ばなくてもそう遠くない将来には先進国に劣らない、場所によってはもっと発展している都市も出てくるかもしれません(日本なんかは昔からそうだと思います)。経済に関しては東南アジアの方が勢いがありますし、世界大学ランキングでもアジア圏の大学も名を連ねてきていますし、物価も欧米やオーストラリアなどと比べたらまだまだ低いですし、食べ物は日本人の口にも合っておいしいですし。

経済の中心が中国、東南アジア、インドに移っている以上、かつて栄えた西洋圏の都市はゆっくりと長い時をかけて衰退していくのではないでしょうか?実際に優秀な西洋人のサラリーマンは東南アジアに駐在で移っている人も増えていると思います。そういった点を踏まえると日本を含めたアジアの大都市圏の方が住みやすくなってくるのかもしれない、と最近少しずつ感じ始めている今日この頃です。

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