日本ではオリンピック開始前から新規感染者の急増がものすごいことになっていますが、オーストラリアも同様にデルタ株が全土で広がりを見せ続けています。
感染力、感染拡大スピードも比べ物にならない
8/6の新規感染者数はシドニーがあるNSW州が319名で現在長期のロックダウン中、メルボルンがあるVIC州が29名で現在、8/11までの7日間のプチロックダウン中、ゴールドコーストやケアンズ、ブリズベンを有するQLD州が13名でSouth East地区(ブリズベン、ゴールドコーストなどがある地区)と呼ばれる州の南東部における8/8までの8日間のプチロックダウン中となっています。
日本と比べると大したことないように思えるかもしれませんが、オーストラリアは新規感染者ゼロが最優先の国で5月の前半くらいまではオーストラリア全土でほぼ新規感染者をゼロに抑え込んでいたので、この数字はあり得ない数字で州政府、連邦政府共に脅威を感じるとともに、これまで以上の厳しい規制をもって抑え込もうと躍起になっています。政府は「感染力も拡大のスピードも初期のコロナと比べ物にならない。これまでよりもっと厳しく取り締まらないと抑え込みができない」と考えていて、各州での(プチ)ロックダウンの頻度も格段に増えています。
シドニーがあるNSW州は昨年3月以降に200名を超す新規感染者を出しましたが、5月一杯までの全豪ロックダウン期間中に完全に抑え込み、それ以降は新規感染者(市中感染に限る)はクリスマス前に20名近くまで行くことはあっても基本それ以外はほぼゼロに抑え込み続けていたこともあり、スコット・モリソン首相も「NSW州のコロナ対策はゴールドスタンダードだ」とべた褒めしていたほどでしたが、そのNSW州もデルタ株の前では現在の1日の新規感染者数は昨年3月以降最も多く、現在も増加中です。先月の100名ほどの頃はこれをゼロにするのには8月一杯までかかるのではと言われていましたが、現在300名を超えてきたので、昨年7月のメルボルン(一時期400名を超す)のケースに近づいてきたので、そうなるとメルボルンの時のようにほぼゼロに抑え込むのに3か月程度あるいはデルタ株の事を考えるとそれ以上かかるのではとも考えられます。
ロックダウンは最後の手段と6月に発表したのに・・・
NSW州の新規感染者が今ほど深刻ではなかった6月。メルボルンが4度目となる5月下旬からの2週間のプチロックダウンを終えて、メルボルンでは「こんなに何度もロックダウンされたらたまらん。特に個人事業主や零細企業などはどうやって生き残っていけばいいんだ」という声が大きくなりました。
そして、オーストラリア政府がコロナ脱却までの4つのステージを6月に発表し、その中で今後ロックダウンは感染者が急増してありとあらゆる対策を講じても抑制できない場合に最終手段として使うことに限定すると述べました。しかし、その後シドニーでデルタ株の新規感染者が急増し、それが原因かは不明ですがメルボルンやブリズベン、ゴールドコーストなどにも広がりを見せ始め、メルボルンは7月にも2週間のロックダウン、そして8月も現在7日間のプチロックダウン実施中と毎月ロックダウンが当たり前のような感じになってきています。しかもロックダウンの決定時の感染者数は5名、10名程度でオーストラリア政府が言ったような最終手段ではなく感染者が5人程度を超え始めた段階での初期の手段として使われています。
どの州の政府も現在は「デルタ株は初期のコロナより感染力が比べ物にならないほど強く、感染拡大のスピードも比べ物にならないくらい早い。またデルタ株は感染経路が不明なものも少なくなく、これが20名とか超えるようになるとその後は新規感染者数もホットスポットの数も倍々ゲームのような感じであっという間に100を超えて収拾がつかなくなるので、そうなった時点で数か月のロックダウンに移行するより、現時点でプチロックダウンを行ってまたゼロに戻す方が経済的なダメージも少なくて良い」と市民に説明していますが、昨年の3月から1年半近く経ち、我慢にも限界という市民が少なからずいるのも事実です。
シドニーやメルボルン、ブリズベンなどでついにデモが
先月25日、ついにシドニー、メルボルン、ブリズベンでデモが起きました。コロナが発生してから約1年半、もう我慢の限界。移動の自由を求めてシドニーでは3,500人ほどの人が参加したと一部の報道では言われています。参加者のほとんどがマスクをしておらず超過密の状態でしたので、デモによる感染拡大が心配されました。オーストラリア政府やこれらの州政府は「一部の市民による身勝手な行動」と非難。私個人的にはこれにより州政府の対応も軟化するかと思われましたが、NSW州では感染者の急増により、一層の取り締まり強化、またデモに対抗するために警察の権限強化を発表し、引くどころか更に強く出た状況で、今ではちょっとでも立てつこうものなら罰金や逮捕、即牢屋にぶち込むことも辞さないといった感じで、かなりピリピリしています。「とにかく新規感染者をゼロに抑え込む」という方針は昨年の3月からブレずに一貫しており、この点での政府の姿勢、対応は日本とは対照的です。
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