
最近は暖かい日が続き、冬はすっかり過ぎ去ったかのようなシドニーです。メルボルンの新規感染者数も抑え込まれた感じで、オーストラリア全体として州境、国境再開に向かって進んでいって欲しいと多くの人が思っているところだと思います。オーストラリアに住んでいる人に限らず、オーストラリアに留学やワーホリ、移住を計画していて頓挫している海外の人たちも同じ気持ちでないかと思います。そんな中、アデレードがある南オーストラリア州(SA州)は先日シドニーがあるニューサウスウェールズ州(NSW州)をコミュニティー間の感染例が見られない、少ない地域と認定し州境を昨日の9月24日から開くことを決定しました(メルボルンがあるビクトリア州とは州境を引き続き閉鎖中です)。
オーストラリアは州制度を採用しているので州の中の事に関しては多くの事を州政府で決めることが出来、国全体として決めるべきことであったり、州をまたぐような事に関しては連邦政府が間に入って調整役のような感じで機能したりするので、コロナに関しても基本は国が大まかな方針や全体的な取りまとめを行って、細かいことは各州が州の状況に応じて決めるという感じになっています。なので、州政府に権限があることに関しては連邦政府といえどもお願いするという形になり(州政府が拒否することもできます)、国が多くの事に関して主導する日本と違う所だと思います。
直近の例ではオーストラリア連邦政府のスコットモリソン首相が各州の知事と話し合って遅くともクリスマスまでには州境を開けるようにしようと提案し、それに同意する州、そうでない州とに分かれましたが、今回の南オーストラリア州の発表もそれを踏まえての事かと思います。
これによって過去14日間ニューサウスウェールズ州にいてそこから直接(ビクトリア州を経由しないで)南オーストラリア州に入る人は14日間の自己隔離も必要なくなります。つまり、この2つの州を越えての旅行が可能になるわけです(ニューサウスウェールズ州で14日間の隔離を強制しているのはビクトリア州からの入州を特別に許可された者と海外からオーストラリアに帰国するオーストラリア居住者のみです)。もしそれぞれの州で入州後14日間の自己隔離が必要であれば、往復するだけで28日間の自己隔離が必要であり、1か月の有休取得が珍しくないオーストラリアであってもこれでは休みのほとんどを自己隔離に費やしてしまい、実質旅行は不可能ですし、14日間の自己隔離でも有休の大部分がそれにあてられてしまいます。
この規制が設けられないことによって、これらの州をまたいでの旅行の足かせがなくなり、多くの人が旅行を計画してお金を使い、経済にも良い影響を与えることが予想されます。今回は2つの州での取り決めなので、経済に与える影響はオーストラリア経済全体から考えると大きくはないかもしれませんが、今回の措置が成功となれば別の州同士でも州境を開けようという機運が高まり、年内中には国内に関しては自由に旅行が出来るようになるかもしれないという期待を国民に与えるので、その意味で大きなニュースということが出来ると思います。
国内の旅行が自由になれば、そこから国境再開という決断もそう遠くないと思われます。過去30年不況知らずと言われたオーストラリアも今年は昨年末からの過去最大の山火事で旅行が控えられ、3月からのコロナで壊滅的で多くの人が失業、労働時間を減らされて収入が激減しています。このまま全ての州で抑え込みに成功し続けられれば、来年早々に国境再開を実施というのが現在描くことが出来るベストシナリオでないかと思われます。
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