2022年10月版(令和4年)の海外在留邦人調査統計が外務省より発表されています。コロナからの脱却後初めての統計ということで、非常に興味がある統計です。コロナ前、コロナ期間中、コロナ脱却後の海外に在住する日本人の数の変動がわかるからです。
トップ3の順位に変動なし
コロナ前のトップ3はアメリカ、中国、オーストラリアでしたが、今回の発表ではこの順位に変動はありませんでした。コロナ以前の数年は中国の日本人在住者が毎年数千人ずつ減っていって、オーストラリアが毎年数千人ずつ増やしている状況で、数年後には順位が逆転するのではと思っていましたが、コロナで両国とも在住者が減少。しかし、オーストラリアは2022年から再び在住者を増やしていますが、中国は引き続き減少を見せています。
オーストラリアの増加はメディアによる出稼ぎ報道の影響も?
オーストラリアは昨年から再び日本人在住者の増加を見せています。元々英語圏の国で留学やワーホリで人気の国だったこともありますし、コロナからの脱却で再び旅行がしやすくなってきたという背景が大きいのだと思いますが、昨年の夏から秋ごろにかけて日本のメディアが盛んに報じていた「海外出稼ぎ」報道も多少はあるのかなとも思います。ただし、今回の統計は昨年10月版という事を考えると、この統計に含まれる出稼ぎワーホリの数は少ないと思われ、来年に発表されるであろう今年の10月版の統計に出稼ぎワーホリの増加分が大きく反映されるのではないかと思います。昨年の増加は1.6%、コロナ前の2019年が5.3%であることを考えると、次の統計では5%あるいはそれを上回る増加があっても不思議ではないと思います。
最近のワーホリの方や留学生の Youtube の投稿を見ると現在は仕事を見つけるのが非常に難しいそうです。レジュメ100枚配って2、3件返事が返ってくれば良い方とか、ジャパレス、ローカルのレストランやカフェなどで仕事をゲットするまでに1、2か月かかるのは珍しくないようです。単純に日本からの出稼ぎだけでなく全世界からの受け手入れを再開しているので、その中では日本人の増加はかなり少ないと思われますが、日本人の対前年の増加としては次の統計ではかなりの数値を示すのではないかと思います。
アメリカや中国は昨年も引き続き減少
オーストラリアとは対照的にアメリカや中国は昨年も減少しています。
アメリカは急激なインフレによる生活の難しさが理由でしょうか?
中国はコロナ以前も毎年減少しており、コロナ以降もこの傾向は変わらないのではないかと思います。やはり以前から経済のスローダウンが叫ばれていて、北京や上海などの大都市では物価も先進国並みに上がり、中国に進出する企業から見てもはや人件費を安く抑えるという観点からはそんなに魅力的でないのかと思われます。中国からベトナムなど更に人件費の安い国にシフトしていくという話はコロナ以前から少しずつ出てきていましたし、中国で生活をする人にとっても以前ほど物価の安さによるメリットの享受を実感できないのではないでしょうか?
タイが大幅減少、カナダが大幅増加
そのほかにはタイが大幅減少、カナダが大幅に増加しています。カナダは昨年移民を大幅に受け入れるべく、永住権のハードルを大きく下げたり様々な誘致策を取っていると思います。それが功を奏しているのでしょうか?
コロナ期間中でさえも増加を示していたタイ。昨年は大きく下げた形になりました。理由はよくわかりませんが、カナダの大幅増加が多少なりとも影響しているのでしょうか?
国別オーストラリア移住者数
日本人にとってオーストラリアが人気の国の一つであるように、他の国にとってもオーストラリアは非常に魅力的な国です。以前は英国人、NZ人及びアメリカやその他のヨーロッパ各国からの白人の流入が多かったオーストラリアですが、近年はアジア諸国の発展に伴いアジア各国からの流入が急増しています。
オーストラリア統計局(ABS)の発表では現在、インド、中国、ネパール、フィリピンからの流入がトップ4を占めているそうです。
https://www.abs.gov.au/statistics/people/population/overseas-migration/latest-release
インド、中国は経済発展も著しく人口も10億を超える国なので想像に難くないですが、ネパールからの流入も多いのは日本の方からすると意外に感じるのではないでしょうか?
私もシドニーに住んでいた時に同じ職場にネパール人が数人いましたが、彼らの話では現在のネパールは学校も英語での授業が珍しくなく(一部の地方とかは例外とか)、小さい頃から英語を話してきたので英語には不便がないそうで、彼らは IELTS では8点台を当然のように取ります。
フィリピンの人が英語がペラペラなのは有名だと思います。
オーストラリアはこのままアジア圏からの移民を増やしていくと思われるので、将来はマレーシアのようにオーストラリア・NZ・英国系、中華系、インド系といった3大民族で構成される国になっていくのではないかと思われます。
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