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コロナとロックダウンでオーストラリアを離れていった多くの移民

オーストラリアはコロナで2020年3月から鎖国を開始。ロックダウンで町中の大半のお店が営業することが許されなくなり大量の失業者が出る中、オーストラリア市民や永住権者で失業した人に関しては給付金で支援することが発表され、それ以外のワーキングホリデービザや学生ビザなどの短期滞在ビザの保持者に関しては当時の首相は「短期滞在ビザの保有者に対しては給付金などの支援はしない。オーストラリア国内で自力で経済的にやっていくのが難しい人に関しては母国に帰るように」という声明が発表されました。

この結果、非常に多くの留学生やワーホリの方達がオーストラリアに残ることを諦め、オーストラリアを離れていったと言われています。オーストラリアではとりわけカフェやレストラン、ホテル、小売店、ファームジョブやワイナリーなどのいわゆるサービス業で働く人たちはこのような学生・留学生やワーホリの人達の労働力で支えられている側面が強く(もちろんそれ以外の職業に関しても同じような状況だと思います)、ロックダウンが終了しこのようなサービス業のお店が営業を再開し、鎖国も解除して再び海外から人の流入が始まった時に直面した問題が「働いてくれる人がいない」ということです。

これは特定の地域の問題でなく、オーストラリア全国、都市部から地方まで津々浦々で生じている問題で、どこのお店の入り口にも「急募!至急働いてくれる人を募集」みたいな張り紙がどこのお店にも出ていましたし、「今日はシフトに入ってくれる人がいないためお休み」という張り紙も2022年はよく見かけました。

コロナからの脱却で再び移民を誘致

2020年3月の鎖国から2021年12月の鎖国解除まで、ビザの発給は医療従事者などごく一部の職種にしか発給されなかったと言われています。しかし、2021年12月にシンガポールや日本など一部の国からの受け入れを再開し始め、2022年に入り完全に鎖国を解除し始めると、人材不足がどの業界でも深刻化し始めたため、2022年中盤から異例とも言えるくらいの技術独立ビザ(以下、「ビザ」と呼ぶ)の数を発給しています(subclass 189)。

Invitation rounds (homeaffairs.gov.au)

ビザの発給数はコロナ以前は毎月数百から非常に多いと言われる月で1,000程度、非常に少ない月で100を切る数だったと思います。しかし、2022年4月には医療系の職種中心に1,000、2022年の8月には何と12,200ものビザが医療系だけでなく、エンジニア系の職種やチャイルドケアなどの職種にも発給され、10月も8月に似たような感じの発給、そして12月は更に約3倍の35,000に増大。会計士やシェフなどのコロナ以前の定番の職種やテニスコーチといった職種まで幅広く支給されたようです。また、この技術独立ビザは点数制でポイントの高い人から永住権申請を許可するための招待状が付与されていく仕組みのため(招待状が届いてそれをもとに申請を開始してから提出物などがビザ申請要件を見たいしているかチェックされる)、コロナ以前は移民の数を抑える傾向のため発給数も少なく、永住権を勝ち取るための競争でこのポイントが100点近くにまでなっている職種が少なくなかったのですが、12月の発給時のスコアは会計士で85点(コロナ以前は最低100点とみられていた)、シェフに至っては65点まで下がっています。85点はまだしも、65点は多くの日本人にも十分届く得点ではないでしょうか?

永住権のバーゲンセールは当面続く?

私の投稿でもコロナ以前はオーストラリアの永住権取得はアメリカほど難しくないにしても、ほぼ無理と述べていました。それは、

  • 上述のように発給数がそもそも少ない(政府が移民の数を抑制したがっていた)
  • それでも世界中からオーストラリアに移住したくてやって来る人が後を絶たない
  • 競争激化の結果、英語力はほぼネイティブ並み、オーストラリアの大学院を出てオーストラリアや海外での職歴もばっちりな20代後半から30代前半の働き盛りでないと無理

という現状だったからです。日本人は海外での異文化や体験を求めて、英語力も不十分な状態でワーホリや留学といった形で、社会人(20代後半)になってから来る人が多いですが、アジア系の人たちなどは10代半ば以降の年頃の時にやってきます。元々東南アジアの国々は自国内での共通語(標準語)を英語にしている国が多く、学校ではどの教科も英語のテキストを使って英語圏の先生による英語で授業というのも珍しくなかったりして、大学からオーストラリアの大学に進学して、職につながる資格などを取得する人たちが多いので、IELTS は 8.0、オーストラリアでの学歴や資格もばっちし、インターンやアルバイトである程度の職歴もあるという感じの人が多く(ポイントで言うと90点越え)、結果永住権を勝ち取る人たちのポイントは95点とか100点越えになってしまうというのがコロナ以前の現象でした。

しかし、昨年の異次元の大量発給によってポイントの最低点も65点などまで下がると、多くの日本人にとっても永住権取得が十分可能な得点範囲になってきます。

現在もサービス業を中心に人材不足は深刻な状況のため、2023年もこの傾向は続くのでないかと思います(私はビザの専門家でないので、あくまでオーストラリア在住者一個人の推測で正確性は保証できません)。

永住権を狙っている人は今年が大チャンス?

昨年12月のシェフは最低点が65点でしたので、今、シェフで永住権を狙っている方にとっては朗報ではないでしょうか?

それ以外の方は職歴や学歴が必要になってくるので、例えばシェフの経験が全くないけどシェフで永住権を目指したいとなると、オーストラリアの学校に通い始めて、職歴を付けるための時間が必要になってくると思います。この辺りの詳しいことについては移民弁護士に専門的なアドバイスを求めることを勧めます。

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